ニュース 2019/08/19 19:34
中国アパレル企業が海外M&A続行、買収成否は3〜5年後に判明
経済・統計
中国アパレル業界の海外M&A(買収・合併)攻勢が衰えを見せない。直近では、女性服ブランドの深セン歌力思服飾(603808/SH)が今月6日、英ファッションブランド「セルフ・ポートレイト」の中国販売権を取得すると発表している。21世紀経済報道などが17日付で伝えた。
2015年の新規上場を機に、歌力思服飾は海外ブランドの買収に乗り出している。それ以前は、自社ブランド「歌力思(ELLASSAY)」を単一展開しているのみだった。15年に独ブランド「ローレル」について、中国本土のデザイン・使用・所有権を獲得。翌16年に仏「IRO」、米「Ed Hardy」の中華圏エリアブランド所有権を取得した。17年には、「ヴィヴィアン・タム」の株式75%を3700万人民元(約5億5900円)で取得している。18年は、ベルギーのデザイナーであるジャンポール・ノット氏と800万人民元を共同出資。同氏のファッションブランド「ジャンポールノット」を中華圏で管理・運営する新会社を立ち上げた。
過去数年で歌力思服飾のほか、複数の中国アパレル企業が海外M&Aを実行している。山東如意控股集団は仏アパレルブランド「Sandro, Maje, Claudi Pierlot」(SMCPグループ)を買収。SMCP傘下の「マジュ」「サンドロ」「クローディ・ピエルロ」などの各ブランドを傘下に収めた。
如意控股が16年に買収したSMCPグループは、18年の売上高が10億ユーロ(約1180億円)を超えた。傘下主要3ブランドの売上高がいずれも伸びている。うち中国では30%を超える成長を達成した。
総合繊維メーカーの山東如意集団は、海外ブランドの買収に積極的。過去数年にわたって繰り広げられた世界アパレル業界のM&Aで、最も活躍した中国バイヤー企業の1社だ。13年にはレナウンを子会社化した。繊維から衣類までの垂直型事業チェーンを構築。国内に13工場を構えるほか、パリ、ミラノ、ロンドン、東京に研究所を設置した。
一方、複合企業の復星国際(656/HK)は、経営危機に陥ったランバン(LANVIN)を18年に買収。複星国際の傘下に入ったランバンは、経営立て直しを急いでいる。高級百貨店などからの受注は今年第1四半期に前四半期の3.6倍に拡大。約70件の新規受注を獲得するなど、復調を予感させた。
バンクオブアメリカ・メリルリンチのアナリストによると、中国アパレル企業の海外ブランド買収は業界の本流。海外ブランドはたとえマイナーブランドであっても規範化されたブランド遺伝子を擁するだけに、独自ブランドを育てるよりも海外M&Aが選好されるという。
もっとも、要客研究院の周テイ(女へんに亭)・院長によれば、買収の成否は3〜5年後になってようやく判断可能だ。中国企業が今後、買収ブランドの潜在力をいかに引き出していくかを観察し続ける必要があるという。
内容についてのお問い合わせは<info@ashuir.com>まで。
2015年の新規上場を機に、歌力思服飾は海外ブランドの買収に乗り出している。それ以前は、自社ブランド「歌力思(ELLASSAY)」を単一展開しているのみだった。15年に独ブランド「ローレル」について、中国本土のデザイン・使用・所有権を獲得。翌16年に仏「IRO」、米「Ed Hardy」の中華圏エリアブランド所有権を取得した。17年には、「ヴィヴィアン・タム」の株式75%を3700万人民元(約5億5900円)で取得している。18年は、ベルギーのデザイナーであるジャンポール・ノット氏と800万人民元を共同出資。同氏のファッションブランド「ジャンポールノット」を中華圏で管理・運営する新会社を立ち上げた。
過去数年で歌力思服飾のほか、複数の中国アパレル企業が海外M&Aを実行している。山東如意控股集団は仏アパレルブランド「Sandro, Maje, Claudi Pierlot」(SMCPグループ)を買収。SMCP傘下の「マジュ」「サンドロ」「クローディ・ピエルロ」などの各ブランドを傘下に収めた。
如意控股が16年に買収したSMCPグループは、18年の売上高が10億ユーロ(約1180億円)を超えた。傘下主要3ブランドの売上高がいずれも伸びている。うち中国では30%を超える成長を達成した。
総合繊維メーカーの山東如意集団は、海外ブランドの買収に積極的。過去数年にわたって繰り広げられた世界アパレル業界のM&Aで、最も活躍した中国バイヤー企業の1社だ。13年にはレナウンを子会社化した。繊維から衣類までの垂直型事業チェーンを構築。国内に13工場を構えるほか、パリ、ミラノ、ロンドン、東京に研究所を設置した。
一方、複合企業の復星国際(656/HK)は、経営危機に陥ったランバン(LANVIN)を18年に買収。複星国際の傘下に入ったランバンは、経営立て直しを急いでいる。高級百貨店などからの受注は今年第1四半期に前四半期の3.6倍に拡大。約70件の新規受注を獲得するなど、復調を予感させた。
バンクオブアメリカ・メリルリンチのアナリストによると、中国アパレル企業の海外ブランド買収は業界の本流。海外ブランドはたとえマイナーブランドであっても規範化されたブランド遺伝子を擁するだけに、独自ブランドを育てるよりも海外M&Aが選好されるという。
もっとも、要客研究院の周テイ(女へんに亭)・院長によれば、買収の成否は3〜5年後になってようやく判断可能だ。中国企業が今後、買収ブランドの潜在力をいかに引き出していくかを観察し続ける必要があるという。
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