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  ニュース     2020/06/08 18:59

中国Eコマース京東が8日公募開始、香港で4380億円調達へ 無料記事

 中国の電子商取引(Eコマース)大手、京東集団(JDドットコム:9618/HK)が8日、香港での新規株式公開(IPO)に向けた一般投資家向け公募を開始した。公募価格の上限は236.00香港ドルに設定。手数料などを除く正味調達額は309億8800万香港ドル(約4380億円)に達し、11日上場予定の網易(ネットイース:9999/HK)を抜いて香港で今年最大のIPOとなる運びだ。11日まで公募を行い、最終日に値決めする。上場日は同社の創業記念日に当たる18日となる予定。

 京東は現在、米ナスダック市場に上場しており、香港でのIPOは「セカンダリー上場」となる。セカンダリー上場銘柄は、昨年11月の阿里巴巴集団HD(アリババ・グループ・ホールディング:9988/HK)、前出のネットイースに続く3社目だ。アリババ、ネットイースと同様に、仮条件に下限を設けない形での公募開始となった。

 売買単位は50株。1億3300万株を公開し、うち95%(1億2635万株)を機関投資家、5%(665万株)を一般投資家に振り向ける。仮条件の上限(236.00香港ドル)で値決めされた場合の調達額は、手数料などを除く手取り概算で309億8800万香港ドル。オーバーアロットメントが全数行使された場合、調達規模は356億4980万香港ドルに膨らむ計算だ。

 調達資金はコア技術のイノベーションに投資し、ユーザーエクスペリエンスや経営効率の向上を図る。具体的には、◆在庫管理システム、スマート顧客サービスソリューションなどコア運営システムへの投資、◆倉庫自動化システムなど物流デジタル化への投資、◆ソフトウエア・エンジニア、人工知能(AI)専門家など専門人材の取り込み・育成の強化――などに充てる方針だ。

 仮条件上限の236.00香港ドルは、直近ADR終値(59.04米ドル、1ADS=2株)に対して約3%の割高水準。香港地場ブローカーの耀才証券は、ネットイースのIPOが人気を集めたことから(報道によると公募倍率は300倍超)、京東にも注目が集まるとの見方だ。ネットイースの公募に漏れた投資家の申込金は10日に返金されるため、改めて京東のIPOに応募する投資家は多いだろうと予測している。

 同社は取締役会主席で最高経営責任者(CEO)の劉強東氏が2004年に創業。Eコマース企業としては、アリババに次ぐ中国2位の規模を誇る。買い付けた商品をインターネット上で販売する「オンライン小売」モデルを主力とするほか、アリババと同様にネット上の“売り場”を提供する「オンライン・マーケットプレイス」モデルを展開。さらに、自前で物流、アフターサービスまで手がける。物流サービスは国内89都市をカバーし、倉庫700カ所余り(総建築面積1690万平米)を保有している。

 また、同社は議決権の異なる「種類株」発行企業。クラスA株は1株当たり1議決権を持った普通株で、劉氏などが保有するクラスB株には1株当たり20議決権が付与されている。議決権ベースで劉氏が78.4%を保有する筆頭株主となっているほか、騰訊HD(テンセント・ホールディングス:700/HK)が同4.6%、米ウォルマートが同2.5%出資している。

 足元の業績は堅調。19年12月期(本決算)は売上高が前年比24.9%増の5768億8848万人民元、純損益が121億8415万人民元の黒字だった。前年は24億9163万人民元の赤字。年間のアクティブユーザー数が3億6200万人に増える中(前年は3億530万人)、売り上げが順調に拡大した。


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