ニュース 2020/04/24 18:59
中国製人工呼吸器に注文2万件殺到、大増産も供給追いつかず
経済・統計
新型コロナウイルスのパンデミックで需要が急膨張している人工呼吸器に関し、世界に先駆けてコロナ制圧に成功したとされる中国の関連メーカーに買付注文が殺到している。特に重症患者向けの気管挿管による侵襲的人工呼吸器は、最も調達が急がれる医療機器と化した。侵襲的人工呼吸器を生産する中国企業は足元で21社。各社いずれも大増産態勢を採っているものの、合算年産力は数千台にとどまる。足元で少なくとも2万台に積み上がっている海外受注に到底対応できていない。中国新聞周刊が23日付で伝えた。
人工呼吸器の中国最大手である邁瑞医療(MINDRAY:300760/SZ)ではこのところ、各国の政府高官や駐中国大使、医療機関からの問い合わせ対応に追われている。いずれも人工呼吸器の調達に関する内容で、一度に数千台規模の買い付けを打診される状況という。
こうしたなか同社は、主要拠点の深セン工場を従来の2000人から3800人までに短期間で9割増員。残業態勢を採り、月産規模を従来比4倍の3000台に増強した。6月には4000台までに引き上げる計画という。
しかしながら、こうした大増産態勢をもってしても、海外需要に遠く及ばないのが現状だ。工業信息化部(工業情報化部)は4月初旬、「中国の人工呼吸器生産能力を冷静に受け止めなければならない。全世界のコロナ治療に対する需要を満たすのは非現実的だ」と説明。コロナ感染拡大で部品調達が滞るなかで、減産態勢を余儀なくされている欧米大手メーカーの穴埋めは困難との認識を示した。
その理由として、高度医療機器に属する人工呼吸器は参入ハードルが高い上に、主要部品を海外輸入に依存している点を挙げた。一部の呼吸器メーカーは国産部品への代替を検討しているものの、対応可能企業はごく少数に限られる。調達先の選定、パイロット作業などの導入準備に最長2年を要するという現実も弊害だ。
これまで人工呼吸器は、欧米大手が主導権を握るマイナー市場に過ぎなかった。マーケッツアンドマーケッツの試算によれば、19年の世界市場規模は9億3000万米ドル(約1000億円)にとどまっている。企業分布はEUで約半数を占め、なかでもスイスのハミルトンメディカルは世界シェア4分の1を掌握する世界大手だ。その他主要産地は米国、中国となっている。またコロナ治療の「切り札」とされるECMO(体外式膜型人工肺)は、技術ハードルが高いだけに独MAQUET、アイルランドのメドトロニック、リヴァノヴァの3社が市場を独占。3社の15年世界シェアは合算で65〜70%に達した。中国では、天津匯康医用設備有限公司のみが生産技術を擁している。
中国の人工呼吸器市場も世界大手が席巻。中信証券のリポートによれば、17年シェアは独ドレーゲルが35.8%、メドトロニックが19.2%、独MAQUETが15.8%。中国勢は、邁瑞医療が1.5%、河北誼安奥美医療設備(002950/SZ)が1.4%に甘んじている。
内容についてのお問い合わせは<info@ashuir.com>まで。
人工呼吸器の中国最大手である邁瑞医療(MINDRAY:300760/SZ)ではこのところ、各国の政府高官や駐中国大使、医療機関からの問い合わせ対応に追われている。いずれも人工呼吸器の調達に関する内容で、一度に数千台規模の買い付けを打診される状況という。
こうしたなか同社は、主要拠点の深セン工場を従来の2000人から3800人までに短期間で9割増員。残業態勢を採り、月産規模を従来比4倍の3000台に増強した。6月には4000台までに引き上げる計画という。
しかしながら、こうした大増産態勢をもってしても、海外需要に遠く及ばないのが現状だ。工業信息化部(工業情報化部)は4月初旬、「中国の人工呼吸器生産能力を冷静に受け止めなければならない。全世界のコロナ治療に対する需要を満たすのは非現実的だ」と説明。コロナ感染拡大で部品調達が滞るなかで、減産態勢を余儀なくされている欧米大手メーカーの穴埋めは困難との認識を示した。
その理由として、高度医療機器に属する人工呼吸器は参入ハードルが高い上に、主要部品を海外輸入に依存している点を挙げた。一部の呼吸器メーカーは国産部品への代替を検討しているものの、対応可能企業はごく少数に限られる。調達先の選定、パイロット作業などの導入準備に最長2年を要するという現実も弊害だ。
これまで人工呼吸器は、欧米大手が主導権を握るマイナー市場に過ぎなかった。マーケッツアンドマーケッツの試算によれば、19年の世界市場規模は9億3000万米ドル(約1000億円)にとどまっている。企業分布はEUで約半数を占め、なかでもスイスのハミルトンメディカルは世界シェア4分の1を掌握する世界大手だ。その他主要産地は米国、中国となっている。またコロナ治療の「切り札」とされるECMO(体外式膜型人工肺)は、技術ハードルが高いだけに独MAQUET、アイルランドのメドトロニック、リヴァノヴァの3社が市場を独占。3社の15年世界シェアは合算で65〜70%に達した。中国では、天津匯康医用設備有限公司のみが生産技術を擁している。
中国の人工呼吸器市場も世界大手が席巻。中信証券のリポートによれば、17年シェアは独ドレーゲルが35.8%、メドトロニックが19.2%、独MAQUETが15.8%。中国勢は、邁瑞医療が1.5%、河北誼安奥美医療設備(002950/SZ)が1.4%に甘んじている。
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