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  ニュース     2020/01/15 18:59

中国:浄水器市場に閉塞感、19年1〜11月販売額は2%マイナス成長 無料記事

 中国の浄水器市場に頭打ち感が広がっている。生活レベルのグレードアップを求める声は依然として強いものの、品質や多量廃水の問題、交換部材価格の高止まりなどが逆風。急ピッチな成長局面は、2019年に一旦終わりを告げている。中華工商時報が15日付で伝えた。
 市場調査会社の奥維雲網(AVC)によれば、中国の浄水器マーケットは2014年に100億人民元(約159億円)近くにまで拡大。その後も17年まで年率平均33%の急成長を持続し、18年は317億人民元に拡大した。ただ、19年に入りマイナス成長の局面が到来。1〜11月にかけた累計の販売額は、前年同期比1.9%減の240億5000万人民元に停滞した。なかでも実店舗の販売額は6.8%の減少率を記録している。
 不振の背景には、品質面の不安感などがある。安徽省市場監督管理局が19年8月に調査したところ、市場に出回る浄水器30種のうち合格は24種(80.0%)のみ。志高、索怡、康家浄、浩沢などの知名ブランド製品も不合格とされた。江蘇省市場監督管理局による19年第3四半期の調査でも、浄水器49種のうち合格は42種(85.7%)にとどまるのが現状。科勒、欧琳、和美泉、華帝の各製品も不合格と報告された。不合格は浄水量、水質、安全性、表示、説明、包装など多岐にわたる。
 このほか多数の製品価格が1000〜2000人民元に設定されているのに対し、交換フィルターの単価が100人民元と本体価格と比べて比較的に高い点も課題。使用コストの高止まりを敬遠し、消費者層が離れるケースもある。また、人気のROフィルター(逆浸透膜)使用製品に関しても、多量の水道水が捨てられる浪費が指摘された。調査によれば、市販ROフィルター浄水器の4割近くは、浄水生産効率が20%を下回ったという。残りは捨てられる。国民1人当たりの淡水保有量が世界の4分の1に過ぎない中国では、水資源の浪費は大問題と言えそうだ。
 ただ、中国の普及率はまだ低いのが現状。米国や日本、韓国などの先進国で浄水器の家庭普及率が80%を超える半面、中国では都市部でさえ20%にとどまる。中国では都市部だけでなく、農村部でも将来的に普及率が上昇していくことは必至だ。


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