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  ニュース     2020/09/17 18:59

アリババ新事業はスマート工場、「新しい製造業」推進へ 無料記事

 中国の電子商取引(Eコマース)最大手、阿里巴巴集団HD(アリババ・グループ・ホールディング:9988/HK)が16日、約3年にわたり構想を温めてきた新規事業の詳細を発表した。新事業の名称は「犀牛智造(xiniu zhizao)」。製造業の新しいビジネスモデル「新製造(ニューマニュファクチャリング)」の発展を促すもので、アリババが持つクラウドコンピューティング、IoT(モノのインターネット)などの最新技術を利用した「スマート工場」を立ち上げるという内容だ。犀牛智造の伍学剛・最高経営責任者(CEO)は発表会の席で、「中国の製造業は30兆人民元(約466兆円)近い規模を持つ巨大市場だ」と述べ、新事業の成長性に期待をにじませた。複数メディアが17日までに伝えた。
 アリババの説明によると、犀牛智造は中小企業向けにデジタル化された製造サプライチェーンを提供。中小企業はこれにより、実際の需要に基づいてカスタマイズ化された製造を実現することが可能となる。浙江省杭州市に第1弾となるスマート工場が開設された。
 伍CEOによると、スマート工場は変化が激しく、千差万別なユーザーのニーズに応じて製品をつくることを目指すもの。ユーザーの個別ニーズに対応すると同時に、工場の収益性を引き上げ、在庫圧力を軽減することも可能という。
 アリババ創業者の馬雲(ジャック・マー)氏は2016年、「新小売」「新製造」「新金融」「新技術」「新エネルギー」の「五新」戦略を提起。ここ数年はオンラインとオフラインを融合させた「新小売」での動きが目立っていたが、今回「新製造」を本格始動させた形だ。
 「新製造」構想について、馬氏は以前、「5分間で同じ種類の衣類2000着を製造するよりも、5分間で2000種類の衣類を製造することがより重要視される時代が来る」と説明。大量生産のスケールメリットを基盤とする伝統的な製造業は今後厳しい局面を迎え、消費者の個性に対応した新しい製造業が誕生するとの考えを示している。
 アリババは世界トップクラスのEコマース企業。1999年に馬氏が設立した(19年9月に会長引退)。「淘宝網(タオバオ)」や「天猫(Tモール)」など個人向けECサイトを運営するほか、越境ECの「天猫国際」、BtoBの「1688.com」も展開。EC以外では、宅配スーパー「盒馬」、フードデリバリー「餓了麼」、動画ストリーミング「優酷」、クラウドサービス「阿里雲」などを傘下に擁する。海外事業では、16年に東南ア同業のラザダを買収している。


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