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  ニュース     2020/09/10 18:59

中国:国際貨物列車「中欧班列」、日韓の物流需要を取り込みへ 無料記事

 中国と欧州を結ぶ国際定期貨物列車「中欧班列」で利用者に出尽くし感がみられる中、日本と韓国のグローバル物流需要を開拓する取り組みが始まっている。西安鉄路監督管理局は先週4日、韓国LGグループのための専用列車を初めて運行。同グループが生産した液晶パネル、電子素材、アルミ箔紙など半製品の入ったコンテナ42箱を、西安市内の鉄道貨物駅から、カザフスタンやロシアを経てポーランドのスワフクフまで輸送し、10日前後で欧州域内のLG工場に届ける。21世紀経済報道が9日報じた。
 中欧班列は、海運よりも格段に速く、空運よりも運賃が安い点が強み。東アジアから欧州まで海運で60日かかるところを、山東省から四川省成都経由で欧州まで約1万1200キロメートルを鉄道で輸送する場合では、所要時間は15日で済む。
 一方、日本の物流企業とは、江蘇省連雲港市が今年6月、大阪〜連雲港〜モンゴル・ウランバートルの海運・鉄道連携ルートを使った輸送を初めて行った。
 LGグループは既に2019年から、貨物を海運で韓国から青島港まで、陸運で西安まで運んだ後、西安市から中欧班列「長安号」でポーランドまで輸送するルートを利用している。累計の輸送実績はコンテナ約1100個に積み上がった。
 日韓の貨物を中欧班列に取り込むには海運とのスムーズな連携が不可欠で、山東省が既に内陸都市との協力を始めている。専門家は、両国企業の関心が盛り上がりに欠けるだけに、中欧班列の役割と価値を知ってもらうために働き掛けを強めていくべきと提言した。 
 コンテナ輸送産業の業界団体、中国集装箱行業協会(CCIA)は、中欧班列が完全に海運に取って代わることは不可能だが、海運輸送量の1%を振り向けるだけで、中欧班列の年間輸送量は300万TEU(20フィートコンテナ換算)に膨らむとの見通しを示した。中欧班列の初運行から9年間の累計輸送量は180万TEUに上るものの、潜在的な需要は依然として大きいとみている。


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