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  ニュース     2019/10/07 19:42

中国「FCV」累計販売3000台、今年1〜3月は日本と同規模 無料記事

 政府が普及推進スタンスを強めている水素燃料電池車(FCV)で、中国の世界販売シェアは25%にまで拡大している。世界のFCV累計販売は18年末時点で約1万2000台。うち中国で概算3000台を占めた。このほど江蘇省で開催された「第4回国際水素・燃料電池自動車大会(FCVC 2019)」で、中国汽車工程学会の李駿・理事長が提供したデータとして報告された。
 ある統計によれば、FCVの国・地域別販売は、今年1〜3月に米国が7450台で最多。日本が3219台、欧州が1732台の規模で推移した。中国と韓国の統計は未公表ながら、李理事長の統計データに基づけば、中国の同期販売は日本とほぼ同規模だったという。もっとも中国のFCV販売は足元で「権威ある統計」に欠ける状況にある。
 FCV研究開発に早くから取り組んできた中国企業は、自動車最大手グループの上海汽車集団(600104/SH)だ。同国内で唯一、商用車と乗用車の両分野でFCV生産能力を擁する。過去5年のFCV生産台数は、6台、20台、55台、100台、306台と右肩上がりで推移。うちセダンタイプFCV「栄威950(Roewe950)」は18年に50台を販売した。リース車両向けと、UNDP(国連開発計画)などから資金提供を受ける「中国水素燃料電池自動車商業化発展プロジェクト」の試験向けに投入。累計走行距離は50万kmを超えた。
 中国のFCV応用分野は、バスやトラックなど商用車が先行。乗用車市場で投入台数が多い米国や日本と異なる。乗用車に比べて商用FCVは技術的ハードルがそれほど高くなく、電池セルの体積効率や電池システムの効率に対する要求は相対的に低い。しかし、システム耐久性への要求は乗用車よりも高いという。
 一方、インフラ整備で、中国は遅れが目立つ。欧州燃料電池水素共同実施機構(FCH JU)の統計によれば、水素ステーション整備数は今年3月末時点で、欧州134カ所、日本108カ所、米国41カ所を数えた。一方、李理事長の報告データによれば、中国は30カ所に届かず、世界400カ所のわずか7%程度にとどまっている。
 マッキンゼー・アンド・カンパニーの予測リポートを引用し、FCH JUは水素ステーション整備では欧州が今後も世界をリードしていくと報告。2030年に同地域で3750カ所規模まで増えるとの見通しを紹介した。


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