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  ニュース     2019/12/25 18:59

中国の「プレハブ工法」普及地、20都市超を追加指定へ 無料記事

 中国で「プレハブ工法」が政府主導で推進されている。2017年に北京、上海、杭州、南京など30都市が「モデル都市」の指定を受けた。20年には50都市あまりにまで拡大される計画。在来工法と比較して建設コストが高くつくだけに、当面は政策支援に頼った業界成長が続く流れとなっている。毎日経済新聞がこのほど伝えた。

 住房和城郷建設部(住宅都市農村建設部)は今年10月、「第2陣プレハブ工法モデル都市」立候都市の募集を開始している。17年3月に公布した20年までの行動計画で、「20年までに50都市以上のモデル都市を育成する」との方針を示していることから、最低でも新たに20都市が追加指定される計算だ。

 業界関係者によれば、在来工法と比較して、プレハブ工法は1平米当たり建設コストが300〜500人民元上乗せされるのが現状だ。こうしたなか、多くのモデル都市が補助金制度を導入している。例えば上海市は、中低所得層向け保障性プレハブ住宅の請負業者に1プロジェクト当たり最大1000万人民元(約1億5600万円)を助成。北京市も、工場であらかじめ加工するプレハブ建材の比率が7割を超える民間建設事業に奨励金を給付している。また天津市は、一定条件を備えたプレハブ工法採用企業を対象に、企業所得税率を15%軽減する税優遇策を導入した。

 北京市は17年1月時点で、新築に占めるプレハブ工法比率を20年に30%まで引き上げる目標を設定。今年10月時点でプレハブ工法着工面積は累計約900万平米に達した。上海市も18年10月までに累計4000万平米のプレハブ建築物が完成している。

 一方、今年2月に全体計画が発表された「粤港澳大湾区」(香港、マカオと広東省沿海の隣接地域から成るベイエリア経済圏構想)も、プレハブ工法の普及拡大が期待されるエリアだ。20年までに主要構成都市の新築面積に占めるプレハブ工法比率を15〜30%まで引き上げる目標が設定されている。うち広州と深センは30%の達成を目指す。

 観光を主力産業とする海南省も、その他沿海都市と比較して建築業の環境対策に積極的だ。22年以降は新規建造物のすべてにプレハブ工法を採り入れるよう求めた。

 プレハブ建材を利用するメリットは大きい。施工期間の15%短縮、建築ゴミの91%削減、室内エネルギー消費量の引き下げなどを実現する。施工過程でも高所作業が減少し、工事現場の安全性を確保した。建設部材の品質レベル引き上げ、サイズ誤差の縮小なども有効に図られる。その結果、水漏れなどの発生率も低下。建設作業者の人手不足問題にも対処可能だ。

 中国の業界最大手は遠大住工。これに上海建工、中国建築、北京住宅産業化集団、上海城建などが続く。


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