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  ニュース     2020/01/14 18:59

中国:「産業・消費レベルアップ」政策、5Gが最大推進力に 無料記事

 2019年11月に中国で商用サービスが始動した5G(第5世代移動通信システム)について、政策目標「産業と消費のダブルレベルアップ」を推進する最有力ツールになる――との期待感が強まっている。5Gビジネスの勃興は、個人消費者によりスムーズなモバイルインターネット通信サービスを提供するにとどまらず、製造業の「スマート化」や産業用IoT(IIoT)の普及を後押しする効果が大きいためだ。供給サイドのレベルアップを促し、より豊富な消費者体験の創造や新業態の開拓につながると目されている。中国政府系メディアが14日付で伝えた。

 「産業と消費のダブルレベルアップ」は、19年12月に開催された「中央経済工作会議」(中国共産党と政府が20年の経済政策を話し合う重要会議)で提言。5Gのインフラ環境も各地で着々と整備されている。全国に整備された5G基地局は19年末時点で概算12万6000基を数えた。うち北京や深センなど大都市の5G基地局数は、1万5000基をそろって超えている。20年末には、ほぼすべての地級市をカバーする5G通信ネットワークが完成する見通しだ。

 すでに一部の先行都市では、「5G×IoT」ソリューションの応用が始まっている。新石器慧通(北京)科技有限公司が北京朝陽公園で運営する「5G無人飲料販売車」はその具体例のひとつだ。客が手を上げると止まり、車上ディスプレーをタッチすれば買い物できる。カメラやレーザーレーダーなど各種センサーを搭載した無人車は、設計から運行までがいずれも5G技術と密接に関連。車両を通じて収集した動画や画像、音声などの各種データはクラウド端末にリアルタイムで送信する。AI処理された計算結果を車両側にも瞬時に返送。ヒトとクルマの双方向型コミュニケーションを可能にした。

 5Gの応用分野は自動運転に限らず、スマート工場や遠隔診療など他領域に及ぶ。通信キャリア最大手、中国移動(チャイナ・モバイル:941/HK)の展示ホールには、スマート防犯ドア、人工知能(AI)ロボット、農業用ドローンといった5G応用ソリューションが数多く紹介されている。

 5Gをめぐる企業間連携の動きも広がってきた。建機大手の中聯重科(1157/HK)は中国移動と5Gで協業。「5G連合革新センター・湖南実験室」を共同で立ち上げた。また通信機器で世界最大手の華為技術有限公司(Huawei)は、中国聯通(チャイナ・ユニコム:762/HK)と「5G+スマート交通」戦略提携で合意。同業の中興通訊(ZTE:763/HK)は米クアルコムと共同で、5Gの音声通話「VoNR(Voice over New Radio)」を成功させた。


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