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  ニュース     2021/03/04 19:00

九龍倉は通期赤転、不動産投資・ホテル苦戦(詳報) 無料記事

 【亜州ビジネス編集部】香港の不動産投資会社、九龍倉置業地産投資(ワーフ・リアル・エステート・インベストメント:1997/HK)は4日、2020年12月期(本決算)の業績を発表し、純損益が78億5400万香港ドル(約1080億円、希薄化後EPS:-2.59香港ドル)の赤字に転落したと報告した。前年は39億2800万香港ドルの黒字。売上高は3.3%減の155億1500万香港ドルに縮小している。期末配当は1株当たり0.69香港ドルとする方針だ。
 新型コロナウイルスの流行により、傘下の商業施設やホテルの経営に大きなダメージが出た。また、商業施設のテナント向けに20億香港ドル超の家賃減免を行ったことも痛手となっている。さらに、業況悪化を受けて投資用不動産や保有ホテルの評価損を計上したことが赤字要因。同評価損などを除いたコア利益は23.6%減の74億7700万香港ドルだった。
 部門別では、主力の不動産投資で売上高が17.2%減の118億2800万香港ドル、営業利益が22.1%減の97億3300万香港ドルに縮小。うち主力商業施設の「海港城(ハーバー・シティ)」は25%減収となった。ホテル部門は売上高が58.2%減の6億3000万香港ドルに落ち込む中、営業損益が3億7900万香港ドルの赤字に転落した(前年は6100万香港ドルの黒字)。
 会社側は先行きに慎重なスタンス。ワクチン接種の効果や、各国による入境規制の緩和などを巡り不透明感が漂う中、コロナ禍による業績への影響が当面続く可能性に言及した。なお、「海港城」の入居率は20年末時点で商業施設部分が90%、オフィス部分が85%に低下している(前年はそれぞれ97%、93%)。
 九龍倉置業は17年11月、九龍倉集団(ワーフ・ホールディングス:4/HK)から分離上場した。主要な資産は香港の繁華街に位置する複合商業施設6件で、「海港城」「時代広場(タイムズ・スクエア)」「荷里活広場(プラザ・ハリウッド)」「会徳豊大廈(ウィーロック・ハウス)」など。保有物件の総床面積は1230万平方フィート、評価額は2740億香港ドル(19年末)。


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