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  ニュース     2020/11/04 19:00

アント香港・上海IPO延期、当局が幹部ら聴取 無料記事

 阿里巴巴集団HD(アリババ・グループ・ホールディング:9988/HK)傘下の金融サービス会社、マ蟻科技集団(アント・グループ:6688/HK、688688/SH)は3日引け後、香港、上海で予定していた新規株式公開(IPO)を延期すると発表した。中国当局から上海「科創板」への上場を差し止める通知を受け取ったと説明。同時に予定していた香港でのH株上場も延期することを明らかにした。申込金返還などの詳細は早期に発表する方針としている。

 アントによると、当局は上場差し止めの理由として、金融当局による会社幹部への聴取、フィンテック規制の変化などの重大事項を受け、アントのIPOが上場要件や情報開示基準を満たしていない可能性が生じたためと説明。中国証券監督管理委員会(証監会)はこれに先立つ2日、アント幹部を呼び出し、監督上の「指導」を行ったことを明らかにしている。

 当局による「指導」の内容など詳細は不明だ。証監会によると、指導の対象となったのはアリババ創業者で、アントの「実質支配者」である馬雲(ジャック・マー)氏のほか、董事長の井賢棟氏、総裁の胡暁明氏の3人。証監会、中国人民銀行、中国銀行保険監督管理委員会(銀保監会)、国家外貨管理局の4部門が共同で指導を行った。

 アントは5日、上海のハイテク・スタートアップ企業向け市場「科創板」と香港マーケットに同時上場する計画だった。これまでの報道によると、両市場でのIPO調達資金は約345億米ドル(約3兆6000億円)。19年12月に上場したサウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコを上回り、世界で過去最大のIPOとなる見通しとされていた(アラムコの調達額は294億米ドル)。

 大型IPOの直前での延期を受け、全体相場への影響も懸念されている。これまでの報道によると、アントの香港IPOは個人投資家の応募額、応募人数などで過去最高記録を更新するなど人気化。2日に行われた機関投資家間のグレーマーケット(上場前の相対取引)では、公募価格比50%高の水準で取引されているとの情報も伝わっていた。

 2004年設立のアント・グループは、中国最大の電子決済プラットフォーム「支付宝(アリペイ)」を展開。「アリペイ」の年間アクティブユーザー数は10億人を突破し、8000万超の店舗が「アリペイ」を決済手段として導入している。デジタル決済サービスの中国国内での取引総額は2020年6月までの1年間で118兆人民元(約1840兆円)に達した。


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