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  ニュース     2021/02/18 19:00

中国:完成車メーカー20年業績予想、重汽集団の50〜70%増益など 無料記事

 【亜州ビジネス編集部】

トラックやバスなど商用車を生産する企業の業績が好調だ。2020年通期の業績見通しをすでに示した各メーカーでは、中国重汽集団済南ソウ車(中国重汽:000951/SZ)などが好業績を予告済み。乗用車メーカーでも、比亜迪(BYD:002594/SZ、1211/HK)などが大幅増益を予想した。すでに通期業績予告を公表した完成車メーカー上場20社のうち、7社が赤字を予想したものの、残る過半は利益計上の見通しを明らかにしている。毎日経済日報がこのほど伝えた。

 商用車メーカーの重汽集団、鄭州宇通客車(600066/SH)、北汽福田汽車(600166/SH)などは利益計上を見込んでいる。なかでもトラック大手の中国重汽は、2020年利益が前年比50〜70%増の18億3500万〜20億8000万人民元(約301億9000万〜342億2000万円)に上ると楽観した。

 乗用車メーカー勢では、上海汽車集団(600104/SH)が減益ながらも200億人民元に上る純利益を上げるとの見通しを報告している。このほかBYDや重慶長安汽車(200625/SZ、000625/SZ)、江鈴汽車(200550/SZ、000550/SZ)は、利益水準が数倍に膨らむと予想した。長城汽車(601633/SH、2333/HK)、*ST力帆(601777/SH)も黒字計上を見込んでいる。

 一方、赤字予想組は、北汽藍谷新能源科技(600733/SH)、小康股フン(601127/SH)、ST海馬汽車(HAIMA:000572/SZ)など。各社の想定赤字額は、北汽藍谷が60億〜65億人民元、海馬汽車が9億〜13億5000万人民元となっている。

 ただ、内容を比べると、長安汽車は黒字予想ながらも見劣りが目立つ。19年通期の純損失26億4700万人民元から一転し、20年通期は純利益28億〜40億人民元を計上すると想定しているものの実質は赤字継続。特殊要因が利益を約66億人民元押し上げると見込んでいる。これを除くと純損失計上に沈む計算だ。全額出資子会社・重慶長安新能源汽車科技有限公司の戦略投資家迎え入れ、長安標致雪鉄竜汽車有限公司の株式50%売却、保有する寧徳時代新能源科技(CATL:300750/SZ)株の値上がりなどが利益に貢献する見通しという。

 福田汽車も同様に、内容は芳しくない。20年に1億4900万人民元の純利益を計上すると予告しているものの、河北雷薩重型工程機械有限責任公司株51%の譲渡益、政府補助金の受領などが利益をかさ上げするのみだ。特殊要因による利益5億8700万人民元を除外すれば、損失計上が免れないだろう。また、4000万〜8000万人民元の黒字計上を予告している*ST力帆だが、特殊要因による利益かさ上げ幅は極めて大きい。事業再編に伴って約100億人民元の収益を計上する見込みと説明している。

 このほか「換骨脱退」の一汽解放集団(000800/SZ)も回復が鮮明化した。親会社の中国第一汽車集団有限公司(一汽集団)が推進する事業再編を通じ、収益能力が格段に向上している。20年の純利益について、4732.29〜5387.97%増の25億5000万〜28億9600万人民元に達するとの見通しを予告した。

 業界団体の中国汽車工業協会によると、中国の20年の商用車市場は、前年比で生産が20.0%増の523万1000台、販売が18.7%増の513万3000台にまで拡大した。旧式廃ガス基準「国3」車両の淘汰、新インフラ(5G基地局、EV充電設備、IIoT、AI、ビッグデータセンタ、都市高速鉄道、超高圧送電線など)の整備が追い風。トラック販売市場に特需が発生した。


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