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  ニュース     2021/06/28 19:00

テンセント音楽部門に罰金か、7月政治イベント後にも 無料記事

 【亜州ビジネス編集部】中国のインターネットサービス大手、騰訊HD(テンセント・ホールディングス:700/HK)の音楽配信部門に対し、中国当局が「独占禁止法」違反で多額の罰金を科す可能性が報じられている。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が24日、同社が本社を置く広東省の政府関係者からの情報として伝えたもの。中国共産党創設100周年の式典が行われる7月1日を過ぎた後にも、処分が発表される可能性があるという。

 報道によると、処罰の対象となるのは、2018年に分離上場した騰訊音楽娯楽集団(テンセント・ミュージック・エンターテインメント・グループ:TME/NYSE)。同社は中国の音楽配信市場でシェア6割超を占めるとされる。テンセントがユニバーサルミュージックグループ(UMG)などとの独占配信権の一部を手放す可能性や、「酷狗」「酷我」など音楽アプリを売却する可能性などが指摘されているが、影響を最小限に抑えるため、当局と交渉を進めているようだ。

 ただ、テンセントの中核事業であるオンラインゲームやSNS「微信(ウィーチャット)」に関しては、当局による規制の圧力に直面していないという。その背景について市場では、テンセント創業者である馬化騰(ポニー・マー)氏の“控えめ”で“忠誠的”なスタンスが当局に認められているためとの見方がある。報道によると、馬化騰氏は今年3月の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で、ネットビジネスに対する規制強化を支持する発言を行ったとされる。

 馬化騰氏とは対照的なのが、阿里巴巴集団HD(アリババ・グループ・ホールディング:9988/HK)創業者の馬雲(ジャック・マー)氏だ。アリババは昨年11月、傘下マ蟻集団(アント・グループ)の新規株式公開(IPO)が急きょ中止されたほか、今年4月には独禁法違反で過去最高となる182億2800万人民元(約3000億円)の罰金を科された。当局によるアリババへの締め付け強化は、馬雲氏による当局への批判的な発言がきっかけと報じるメディアもある。

 テンセントはネット・モバイル関連の付加価値サービス、ネット広告、Eコマースを収益の柱とする。看板商品のIM「QQ」で築いた膨大な顧客基盤とブランド力を背景に、SNS、ミニブログ、オンラインゲームなど次々と新分野を開拓してきた。足元では、スマホ向けメッセージアプリ「微信」の利用者が12億人を突破。同サービスを基盤に、各事業の収益を伸ばしている。


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