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  ニュース     2021/01/27 19:00

快手IPO公募初日に倍率290倍、応募額アント超えも 無料記事

 【亜州ビジネス編集部】ショート動画投稿アプリ「快手(クアイショウ)」を展開する快手科技(クアイショウ・テクノロジー:1024/HK)の香港IPO(新規株式公開)が人気化している。同社は26日、IPOの公募をスタート。27日付の香港経済日報によると、証券ブローカーなどのマージンローン(IPOに応募する投資家向けの融資)を利用した一般投資家の応募額は初日だけで3027億香港ドル(約4兆円)に達した。これは公募枠の約290倍に相当する規模。最終的な応募額は、昨年11月に急きょIPOを中止したマ蟻集団(アント・グループ)を上回る可能性も指摘されている。
 快手は29日まで公募を行い、2月5日に上場する予定。市場関係者の間では、事業の成長性に加え、公募枠が小さいこと(公開規模の2.5%)などから、快手の公募が人気化するとの見方が多かった。外電報道によると、同社は仮条件(105〜115香港ドル)上限での値決めを目指しているという。
 なお、香港のIPO市場では前出のアントが数々の記録を残したものの、取引開始の直前に上場を中止した。アントのIPOでは、個人投資家の応募額が約1兆3000億香港ドル、応募者数が155万人に達している。当時の報道によると、アントの公募初日の応募額は2200億香港ドル程度だったとされており、今回の快手はこれを上回るペースだ。
 香港地場ブローカーの信誠証券は、快手の公募規模がアントの記録を上回る可能性を指摘。仮にこの記録を破れなくても、個人投資家の応募額が1兆香港ドル規模に達する可能性は高いとの見方を示した。なお、実際に上場したIPO銘柄では、今月15日に上場した医療ビッグデータソリューションの医渡科技(イードゥー・テック:2158/HK)が記録保持者。医渡科技のIPOでは応募額が6723億香港ドル、応募人数が117万4000人に達している。
 北京を拠点とする快手は、11年に宿華氏と程一笑氏によって設立された。同年にショート動画投稿アプリの原型となるGIFアニメーションを作成・共有できるモバイルアプリケーション「GIF快手」を発表。設立当初は写真共有アプリを展開し、“中国版インスタグラム”と呼ばれていたが、13年にショート動画のソーシャルプラットフォームを立ち上げ、ショート動画投稿アプリへと事業をシフトした。「TikTok(ティックトック、中国でのサービス名は抖音)」を提供する北京字節跳動科技(バイトダンス)の最大の競合相手だ。
 20年9月末の1日当たり平均アクティブユーザー数(DAU)は3億500万人、1カ月当たりアクティブユーザー数(MAU)は7億7900万人。ライブコマースの商品取引総額(GMV)は20年1〜9月に2041億人民元(約3兆円)に達し、世界2位のプラットフォームとなっている。


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