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  ニュース     2020/12/28 19:00

中国金融当局がアント問題点を指摘、「本業回帰」など要求 無料記事

 中国人民銀行(中央銀行)など金融当局は26日、阿里巴巴集団HD(アリババ・グループ・ホールディング:9988/HK)傘下の金融サービス会社、マ蟻集団(アント・グループ)に対して行政指導を行った。ガバナンス体制の不備、市場地位を利用した同業他社の排除などアントが抱える問題点を指摘。その上で、「決済」という本業に回帰し、取引の透明性を引き上げるよう求めるなど、5つの要求を提示した。

 行政指導の内容は、人民銀ウェブサイトで27日に公開された。今回の行政指導には、人民銀のほか、中国銀行保険監督管理委員会、中国証券監督管理委員会、国家外貨管理局が参加。人民銀の潘功勝・副総裁が記者の質問に答える形で、指導の内容を明らかにした。

 潘副総裁によると、今回の業績指導の背景には、フィンテックやプラットフォーマーの規律ある健全な発展を目指す党中央の方針がある。アントが抱える問題としては、◆ガバナンス体制が健全ではない、◆順法意識が不足している、◆市場地位を利用して同業他社を排除している、◆消費者の合法的な利益を損ねている――の4点が指摘された。その上で金融当局はアントに対し、◆本業への回帰、◆規定を順守した個人信用情報業務の運営、◆金融持ち株会社の設立や資本の充足、◆当局の要求に基づいた融資、保険、資産運用業務の見直し、◆規定を順守した証券・ファンド業務の運営――の5点を要求している。

 現地メディアによると、アントは「すでに改善案とタイムスケジュールの策定に着手した」とのコメントを発表している。市場関係者の間では、一連の要求を実施することで、アントの収益に大きなダメージが出る可能性も指摘されている状況だ。今年11月に延期した新規株式公開(IPO)計画についても、一段と不透明感が増している。

 アントの本業は決済サービスだが、近年は同部門の売上構成比が縮小(17年通期は54.9%、18年通期は51.8%、19年通期は43.0%)。半面、デジタルフィンテック・プラットフォーム部門の存在感が増しており、20年6月中間には売上高全体の63.4%を占めた。同部門では、「クレジットテック(消費者金融、小口融資)」「インベストメントテック(理財商品)」「インシュアテック(保険商品)」の3分野でプラットフォームを提供している。

 このほか、浙江省の市場監督当局は24日に実施したアリババの調査を当日中に終えたことを明らかにした。アリババを巡っては、「二選一」など独占行為の疑いで国家市場監督管理総局が調査を行う方針を示していた。


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