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  ニュース     2021/06/04 19:01

中国:需給ひっ迫の電解液材料LiPF6、CATLが長期契約1.5万トン 無料記事

 動力電池向けの需要が膨らむなか、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)の相場が上値追いを続けている。5月下旬のトン当たり価格は、中国で27万〜31万人民元(約454万4000〜533万2000円)にまで高騰した。年初の11万人民元から2倍以上に跳ね上がり、直近4年の高値水準を切り上げている。中国証券報が3日付で伝えた。

 リチウムイオン電池の主要原料となるだけに、LiPF6の急ピッチな値上がりは動力電池メーカーにとって痛手。また、動力電池に必要な電解液のうち、LiPF6はコストの4割を占める主要原材料だ。在庫量も少なく、足元で過去3年の最低水準にまで落ち込んでいる。

 需給ひっ迫が顕在化するなか、LiPF6生産の多弗多化工(DFDCHEM:002407/SZ)、天際(002759/SZ)、江蘇九九久科技(002411/SZ)は、出荷価格を相次ぎ引き上げた。資料によると、世界のLiPF6年産量は足元で約5万6000トン。うち天賜材料(002709/SZ)、多弗多化工、天際は合算で3万トンを超える。これら中国3社の世界生産シェアは55%に上る計算だ。

 こうしたなか、動力電池の寧徳時代新能源科技(CATL:300750/SZ)は、LiPF6の長期、かつ大規模な調達に乗り出した。天賜材料は5月27日、全額出資の寧徳市凱欣電池材料有限公司を通じ、CATLと長期売買契約を交わしたと発表。契約期間を2022年6月30日までの1年間に設定したうえで、総量1万5000トンに上るLiPF6の一部前金(6億7500万人民元)を受け取ると告知した。双方が合意すれば供給量の±20%増減が可能。原材料価格が10%以上変動した場合、価格を再調整することでも同意したという。

 高値で購入する契約を締結したものの、業界大手のCATLにとって原材料の確保は喫緊の課題だ。LiPF6が1万5000トンあれば電解液11万トンの生産が可能。動力電池製品に使用した場合、その静電容量は合計約100GW(1億kWh)に達する計算だ。他方、一部の小規模な動力電池メーカーは、資金不足で原材料の取得難にも直面しているとされる。

 中国の動力電池生産量は、急増を続けてきた。業界団体の中国汽車動力電池産業連盟によると、今年4月の動力電池生産量は、前年同期比173.7%増の12.9GWhに拡大。前月比では14.6%伸びた。1〜4月にかけた年初来累計では、生産量が251.8%増の45.7GWhに伸びたという。

 メーカー別の1〜4月車載量は、CATLが16.04GWh(車載シェア50.7%)、比亜迪(BYD:1211/HK)が4.23GWh(13.4%)、LG化学が2.61GWh(8.3%)、中航リ電(CALB)が2.19GWh(6.9%)、合肥国軒高科動力能源(国軒高科:002074/SZ)が1.64GWh(5.2%)、孚能科技(688567/SH)が0.61GWh(1.9%)、恵州億緯リ能(EVE)が0.61GWh(1.9%)、蜂巣能源科技(SVOLT)が0.57GWh(1.8%)、江蘇塔菲爾新能源科技(TAFEL)が0.35GWh(1.1%)、瑞浦能源(RUIPU)が0.34GWh(1.1%)となっている。

 


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