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  ニュース     2021/06/24 19:00

香港アップル・デイリー24日付で廃刊、26年の歴史に幕 無料記事

 【亜州ビジネス編集部】中国共産党に批判的とされる香港紙・蘋果日報(アップル・デイリー)の発行元である一伝媒(ネクスト・デジタル:282/HK)は23日、オンライン版の更新を23日深夜に停止し、紙の新聞も24日付を最終号として廃刊すると発表した。「香港国家安全維持法」(国安法)により当局に資産を凍結される中、事業継続を断念した形。創刊から26年の歴史に幕を下ろす。複数メディアが伝えた。
 一伝媒の経営陣によると、従業員が出勤すれば拘束される恐れがあったため、予定より早く発行停止を決めた。一伝媒の取締役会は当初、発行継続の可否を25日に決めるとしていたが、23日に同紙社説の主筆である李平氏が逮捕されこともあり、廃刊の決断を前倒しした。
 一伝媒の創業者、黎智英(ジミー・ライ)氏は昨年、違法集会に参加した罪で禁固14カ月の判決を受けた。香港警察は今月17日、アップル・デイリー編集長の羅偉光氏ら5人を逮捕している。一伝媒が発行する週刊誌で、31年の歴史をもつ「壱週刊」も23日、発行停止を発表した。
 アップル・デイリーは1995年に創刊した。最終号となる24日付紙面は、通常の10倍以上となる100万部を発行。廃刊を惜しみ、新聞スタンドには同紙を買い求める客が長蛇の列をなした。
 台湾メディアの中央通信社によると、欧州対外活動庁(EEAS)のマスラリー報道官は23日、アップル・デイリーの廃刊について「メディアの自由と多様性を大きく破壊したが、どちらもオープンで自由な社会に不可欠だ。報道の自由の侵害は、世界のビジネスセンターになるという香港の願望と矛盾する」などとするコメントを発表した。これに対して中国の欧州連合(EU)代表部は、「欧州は報道の自由を看板にして、公然と香港問題、中国の内政に干渉した。重大な国際法違反だ」などと強く反発している。
 なお、香港マーケットに上場する一伝媒の株式は17日から売買を一時停止中。中核事業を失う中、2022年にも上場廃止となる可能性が指摘されている。


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