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  ニュース     2020/12/11 19:00

中国:蘇寧に資金難観測、創業者一族が保有株担保差し入れ 無料記事

 家電量販店などを展開する小売大手の蘇寧控股集団を巡り、資金繰り悪化の観測が浮上している。同社はこの観測を否定しているが、10日には新たに「創業者一族が保有株式をすべて担保として差し出した」との情報も伝わった。多額の社債が近く償還期限を迎えるとの報道もあり、デフォルト(債務不履行)への懸念が高まっている。

 10日付のメディア報道によると、蘇寧控股集団の創業者で、董事長でもある張近東氏とその息子の張康陽氏はこのほど、保有する10億人民元(約160億円)相当のグループ株式を担保として差し出した。この金額は蘇寧控股集団の登録資本金とほぼ同額という。質権者は阿里巴巴集団HD(アリババ・グループ・ホールディング:9988/HK)傘下の淘宝(中国)軟件有限公司だ。

 この報道に対し、蘇寧側は「正常な商業面での協力活動であり、グループの戦略や経営に実質的な影響はない」とコメント。アリババグループとは長期的な提携関係にあると強調している。

 ただ、蘇寧に対する資金繰り不安は払しょくされていない。現地メディアによると、傘下企業も含め、向こう1年内に償還期限を迎える同社グループの社債は224億人民元に達するとの情報もある。

 蘇寧控股集団を巡っては今月8日の時点で、渤海銀行(9668/HK)からの融資がすでにデフォルトとなったほか、中国光大銀行(6818/HK)からの融資についても返済期限の延長を迫られた――と一部メディアが報じた。蘇寧側はこのうわさを否定している。

 資金繰り懸念が浮上する中、蘇寧控股集団の上場子会社である蘇寧易購集団(002024/SZ)は足元で株価が急落。11日前場終了時点では、前日比5.5%安の8.20人民元と大きく売られている。一方、香港市場に上場する競合会社の国美零售HD(ゴメ・リテール・ホールディング:493/HK)は前日比9.2%高の0.95香港ドルで前場の取引を終了。一時は16.1%高と急伸する場面もあった。


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