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  ニュース     2022/04/15 18:00

中国:ディープフェイク顔認証で詐欺横行、数千万元被害も 無料記事

 【亜州ビジネス編集部】人工知能(AI)で精巧な偽動画を作る「ディープフェイク」技術を悪用した犯罪が多発している。写真1枚から人物の表情までを自在に作成し、顔認証チェックを突破して電子決済のアカウントを作成し、数万人民元規模を盗み取る被害も報告された。過去数年では、浙江省、江蘇省、河南省などで同様の事件が相次ぎ発生。浙江省温州市の被害男性は、最近に友人がネット上にアップした動画から自身の顔データを盗られ、約5万人民元(約99万円)を騙し取られている。経済参考報が14日付で伝えた。

 安徽省合肥市の公安当局は2021年に、ディープフェイクで他人の顔動画を作成し、反社会産業にスマートフォンのSIMカード登録などの技術支援を提供していた犯罪グループを摘発している。動画は頷いたり、頭を振ったりが可能な上、表情も豊富で本物そっくりの仕上がりだった。

 捜査員は容疑者のパソコンから顔写真や身分証明書の両面データなどを押収。これらは本人の知らないうちに、「材料」としてネット上で何度も転売されているものだった。容疑者の1人は、「動画1本当たりの制作費は2〜10人民元と破格にもかかわらず、巨額の利益が見込める仕事だった」と明かした。浙江省で発生した別の事件では、偽データで「支付宝(Alipay)」のアカウントを作成し、数万人民元を騙し取った例がある。これらの手口はネット上に教材があり、数カ月で技術を習得したグループもみられた。

 これに対し、弁護士らは「情報技術で偽造などの手段を用いて他人の肖像権を侵害することは禁じられているが、技術の使用がどのような場合に合理的と言えるか、どのような場合に禁止すべきか、その具体的な規定はない」と懸念を示す。声紋や写真、指紋、虹彩などの生態情報の収集や購入はどのような場合に犯罪を構成するか、懲罰に値するかは、司法当局の明確な指標待ちであると説明した。



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