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  ニュース     2022/09/09 18:00

中国:PCR検査会社の売掛金拡大、「ゼロコロナ」で地方財政厳しく 無料記事

 【亜州ビジネス編集部】新型コロナウイルスの感染を徹底的に抑え込む中国の「ゼロコロナ」政策において、PCR検査は中核を成す重要なツールとなっているが、検査サービス提供企業は業績悪化の懸念に直面している。地方政府の財政悪化などにより、売掛金の回収が困難となっているためだ。検査サービスを提供する迪安診断技術集団(300244/SZ)によると、一部の売掛金を回収できず、不良債権化するリスクが高まっているという。
 ブルームバーグ通信が8日報じたもので、こうした売掛金は各社で急増している。株式上場する大手検査会社8社の売掛金は、6月30日時点で前年同期に比べて141億人民元(約2900億円)増加した。増加率は73%となる。中でも最も増加率が大きかったのは、上海蘭衛医学検験所(301060/SZ)の189%だった。
 支払いの遅延は、中国の「ゼロコロナ」政策による財政的、経済的、社会的コストの上昇を浮き彫りにしている格好だ。各地で感染者数が増加するに伴い、中国では大規模な検査とロックダウン(都市封鎖)を組み合わせて感染拡大を予防・抑制することが一般的となった。ロックダウンが実施されていない北京や上海などの都市でも、住民は3日ごとにPCR検査を受けなければ、公共施設の利用や出勤ができないようになっている。
 大規模検査の費用を負担する地方政府の財政は厳しい。商業活動の縮小が歳入に影響する一方で、防疫関連の歳出は増加。費用にはPCR検査だけでなく、隔離センターの建設やコロナ禍で苦戦する企業への補助金も含まれる。
 ブルームバーグ・リサーチのアナリストは、こうした事態の背景として、年初に設定したPCR検査の予算が過小評価されていた可能性を指摘する。中国がより積極的なコロナ対策を進めるほど、こうした圧力が強まる可能性は大きいという。中国メディアの財新によると、中国では約33都市が完全または部分的なロックダウンを実施し、住民6500万人以上が影響を受けている。
 もっとも、「ゼロコロナ」政策における大規模試験の重要性に加え、必要に応じて地方政府を支援する中央政府の財政力を考慮すると、売掛金の回収サイクルが延びたとしても、検査会社が最終的に売掛金を回収できなくなるリスクは小さいという。ただ野村のアナリストは、不良債権のリスクがいつ低下するかは、感染状況や治療薬の入手可能性などに左右されるため、予測は困難だと指摘している。


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