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  ニュース     2023/03/06 11:58

中国:全人代で23年GDP成長「5%前後」、内需拡大を優先 無料記事

 中国北京市の人民大会堂で5日、第14期全国人民代表大会(全人代、国会に相当)第1回会議が開幕した。13日まで開催される。開幕式では、李克強・首相が任期最後となる「政府活動報告」を読み上げ、2023年の国内総生産(GDP)成長率目標を「5%前後」とする方針を表明。22年の「5.5%前後」から目標値を引き下げた。香港紙・明報によると、成長目標は過去20年近くで最も低い水準となっており、保守的なスタンスが示された。
 李首相は23年の重点施策として、第一に「内需の拡大」を挙げた。消費の回復に注力すると同時に、投資の加速を図る方針。今年は地方政府の専項債(公益事業向け資金調達を行う特別地方債)発行枠を3兆8000億人民元(約74兆円)とし、前年予算(3兆6500億人民元)から引き上げた。
 23年の財政政策については、対GDPの財政赤字比率を「3%」とする方針が示された。前年目標の「2.8%前後」から引き上げている。金融政策については、穏健な政策を継続する方針を示した。状況の変化に応じて政策を調整し、流動性を合理的で十分な水準に維持すると表明。預金準備率の引き下げや再貸出などの政策ツールを活用していく方針とした。
 政府活動報告で示された23年の政策主旨は次の通り。
【数値目標】消費者物価指数(CPI)の抑制目標は3%前後(前年目標と同水準)とする。雇用面では、都市部の新規就業者数を1200万人以上(前年目標は1100万人以上)、都市部の調査失業率は5.5%前後(前年目標は5.5%以内)を目指す。輸出入は安定と質向上を目指し、国際収支の基本的にバランスの取れた状態を目指す。食糧(穀物、豆類、イモ類)生産量は1兆3000億斤(=6500億キロ)以上を確保する。
【財政政策】積極的な財政政策をより効果的なものとする。対GDPの財政赤字比率は3%とする方針で、昨年予算から引き上げる。現行の減税・税金還付措置については、必要なものは延長し、見直しが必要なものは最適化していく(具体的な減税規模には言及せず)。
【金融政策】穏健な金融政策をより正確に行う。新規融資の規模を拡大し、マネーサプライ、社会融資総額の伸びを名目経済成長率に見合ったペースに維持させる。人民元相場を合理的でバランスのとれた水準で基本的に安定させる。
【雇用政策】雇用優先の政策を実行し、特に大学卒業生の雇用促進を重視する。
【内需の拡大】消費の回復を優先し、都市・農村住民の所得増加を図る。耐久財消費を安定させ、生活サービス消費の回復を促す。投資の加速も目指し、地方政府の専項債発行枠は3兆8000億人民元とする。第14次5カ年計画(21〜25年)の重点プロジェクトの実施を加速させる。
【産業】製造業の重要産業チェーンを巡り、コア技術のブレークスルーを図る。重要なエネルギー・鉱物資源の国内探査・開発を強化し、埋蔵量と生産量を増加させる。従来型産業と中小企業のデジタル化を加速させ、ハイエンド化、インテリジェント化、グリーン化を推進。プラットフォーム経済の発展を支援する。
【対外開放・外資利用】外資による市場参入規制を緩和し、現代サービス業の開放を加速させる。環太平洋経済連携協定(TPP)などへの加入交渉を積極的に進めていく。
【金融リスク】優良不動産デベロッパーのリスクに効果的に対処し、負債比率の改善を後押し。不動産業界の安定成長を促す。地方政府の債務リスクを防ぎ、債務期限構造の改善、利息負担の軽減、債務残高の削減を進める。
【環境保護】石炭のクリーンで高効率な利用を強化する。新エネルギー体系の構築を加速させる。
【民生】住宅保障システムを整備し、住宅購入・買い替えを支援。新市民(当該都市の戸籍を持たない住民)や若年層の住宅難を解決する。養老サービスの強化、出産支援に向けた政策システムの改善を図る。


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