詳細
検索
期間
亜州リサーチFacebook公式ページ 亜州リサーチYoutube公式チャンネル

  ニュース     2019/08/20 19:50

中国:日系企業の高純度フッ化水素、浙江省金華で量産へ 無料記事

 日系企業の高純度フッ化水素工場が浙江省金華市で新たに立ち上げられる。投資母体の浙江森田新材料有限公司は、2003年11月28日に発足した浙江森美化工有限公司。浙江森美化工は、浙江三美化工股フン有限公司と森田化学工業株式会社(本社:大阪市中央区久太郎町)の日中合弁企業で折半出資となっている。金華日報が20日までに伝えた。
 浙江森田新材料の主要製品は無水フッ化水素(HF)。年産能力は2万トンに設定する。2018年の販売収入は2億6400万人民元(約39億8000万円)に達した。
 “蛍石の郷”と呼ばれる金華市武義県は、1990年代からフッ化水素産業をはじめとする化学工業が勃興。浙江三美化工などが活躍した。
 浙江森田新材料の電子材料プロジェクトは、武義県政府が17年11月に着工を許可。18年3月、進出地を武義県新材料園内に選定した。浙江省政府によって「重大産業プロジェクト」に指定されている。6月に正式着工し、浙江森田新材料は登録資本を2400万米ドル(約25億6000万円)に増強。総額13億人民元(約196億円)を投じるフッ化水素生産計画を始動した。
 工場の敷地面積は10万平方メートル。3期に分割して生産ラインを整備する。本格稼働時の年産額は30億人民元に達する見通しだ。
 うち第1期プロジェクトの開発面積は約5万平方メートル、工場の建築面積は2万平方メートルに設定した。すでにオフィス、自動化倉庫、生産工場、配電室を建設済み。生産ラインには、日本のハイエンド設備を導入した。環境対策も徹底する。
 “フッ素のパイオニア”と称される森田化学工業はこのほか、04年1月13日に森田新能源材料(張家港)有限公司を江蘇省に設立している。出資比率は森田化学工業70%、住友商事25%、住友商事(中国)が残り5%。登録資本は720万米ドル、投資額は1100万米ドル。年産能力3000トンの六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)生産ラインを擁する。
 日本政府による対韓輸出規制の導入を受けて、中国は半導体の製造過程で使用するハイエンド化学品の自給率引き上げを目指している。日本政府は7月4日、半導体の製造過程で不可欠な高純度フッ化水素とレジスト、スマートフォンなどの有機ELに使われるフッ化ポリイミドの化学製品3品目について、韓国向け輸出管理を強化した。
 日本でフッ化ポリイミドとレジストの生産量は世界全体の約90%を占め、世界の半導体メーカーの約70%が日本からフッ化水素を輸入している。サムスン電子やLG、SKといった韓国大手メーカーもこれら化学製品の対日依存度は大きい。フッ化水素は腐食性が強く、長期保存ができないだけに、韓国メーカーは少量ずつしか輸入できないとされる。


内容についてのお問い合わせは<info@ashuir.com>まで。

関連ニュース