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  ニュース     2020/05/14 18:59

米当局がBYD製マスク承認せず、カリフォルニア大量受注「白紙」か 無料記事

 米国立労働安全衛生研究所(NIOSH)は13日、中国・比亜迪(BYD:1211/HK)のマスク承認申請を却下したと発表した。詳細は「機密情報」として明らかにしていないが、却下の理由は複数あるとしている。BYDは先ごろ、米カリフォルニア州と総額10億米ドル(約1070億円)に上るマスク供給契約を結んでいるが、当局の承認申請却下により、大口契約が白紙化する可能性が浮上している。米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が13日伝えた。
 これまでの報道によると、カリフォルニア州政府は4月、高機能のN95マスク3億枚をBYDから購入する契約を締結。4億9500万米ドルを前払いした。ただ、BYD製のN95マスクが同月末までにNIOSHの承認を得られなかったため、BYDはひとまず2億4750万米ドルをカリフォルニア州に払い戻したという。双方は契約を見直し、5月31日までにNIOSHの承認を得られなかった場合、BYD側が前金の残り半分を返金することで合意したとされる。
 一方、中国共産党機関紙「人民日報」傘下の「環球時報(Global Times)」は公式ツイッター上で14日、「NIOSHはBYD製N95マスクを承認しなかったわけではない」と報道。ただ、追加の書類を提出する必要があり、5月末または6月上旬にも再度申請する見込みと伝えている。
 BYD製のマスクを巡っては、ソフトバンクグループ(9984/東証1部)代表の孫正義氏も先ごろ、マスク供給のためにBYDと提携したことを表明している。孫氏によれば、BYDにソフトバンク専用の製造ラインを設立。N95マスクが月1億枚、一般用サージカルマスクが月2億枚と、合計で月産3億枚の供給能力を見込んでいるという。5月から納品を開始し、医療現場などに供給する方針だ。一部報道によると、ソフトバンクグループの広報担当者は同契約について、米当局の承認を得ることが条件になると今週12日にコメントしたという。
 新型コロナウイルス流行による需要急増に対応するため、充電池・自動車メーカーのBYDはマスク生産に参入。既存工場の一部を改造し、マスクの生産に着手した。2月中旬に試験生産を行い、同月末には深セン、長沙の工場で計130本のマスク生産ラインが本格稼働。3月の報道時点で、日産量は世界最大規模の515万枚に達している。
 二次電池メーカーとして発足した後、BYDは携帯端末の組立、自動車の生産に参入。小型ガソリン車のほか、PHVやEVを生産・開発する。2009年5月にVW、10年3月にダイムラーと業務提携。ダイムラーとは、EV研究開発の折半出資会社を設立した。米著名投資家バフェット氏が戦略投資家に。09年に同氏の投資会社バークシャー・ハサウェイの子会社が出資、株式8%を保有している。


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