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  ニュース     2020/07/03 18:59

中国:「スマート物流」応用加速、車両や倉庫の管理自動化 無料記事

 次世代情報技術を活用した「スマート物流」が中国で急速に浸透している。車両ごとの稼働状況を把握するリモート管理システムや、荷主とトラックドライバーのマッチングアプリ、無人配送ロボットなどが相次ぎ導入された。物流の各現場にかつてない多大な変革をもたらしている。中国政府系メディアが2日付で伝えた。
 浙江省台州市を本拠地とする運輸会社の運興運輸有限公司では、車両管理システムの導入効果が如実に表れている。荷物配送後に積み荷が空の状態で帰路につくトラックの比率を導入前と比べて10%も減らした。指定時間通りの荷物の発送・到着率も95%までに高めている。
 デジタルプラットフォーム化の流れは、ドライバーにも恩恵をもたらした。運興運輸と契約しているあるドライバーは、貴陽貨車幇科技が運営するトラック配車中国最大アプリ「貨車幇」のサービスも併用。運興運輸から依頼を受けた際は、貨車幇アプリに出発地、行き先、車種などを入力。十数分も待つと、帰路の配送注文が入るといった仕組みだ。効率的に車両を稼働させることで、月間収入を大きく増やしたという。
 一方、倉庫管理のIoT(モノのインターネット)技術導入も進んでいる。江蘇省の徐州徐工智聯物流服務有限公司は、自社開発の小規模自動倉庫「智能微庫」を中小型部品を扱う企業向けに提供している。倉庫単体の占有面積は10.6平方メートルながら、有効保管面積は210.8平方メートルの広さを実現。1043個の保管ラック数を確保した。操作人員の作業効率を従来倉庫比で50%以上も高め、作業人員を1台につき5人も削減。年間40万人民元の人件費コストを削減している。
 また、無人配送車やスマート宅配ボックスなどの活用は、物流のラストワンマイル問題を解決する有効ツールと言えよう。新型コロナウイルス流行期には、非接触を実現する配送ロボットが役立った。中国版GPSの北斗システムを搭載した京東物流(京東商城:JD/NASDAQ傘下の物流企業)の配送ロボは、各地から湖北省武漢市に集荷された医療物資を病院隔離エリアに送り届けるなど活躍した。
 配送ロボット分野では、蘇寧易購集団(002024/SZ)傘下の蘇寧物流が5G対応の最新車両を導入している。走行時速を平均8km、最高15?までに高めた。
 一方、スマート宅配ボックスも末端配送の有効手段として存在感を増している。主要都市の19年新規設置数は、前年比50%増の13万4000組に拡大。累計の設置数は、40万6000組にまで積み上がった。配送員によるスマート宅配ボックスの利用率は10%を超えている。


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