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  ニュース     2020/09/28 18:59

中国:第3世代原子炉「国和一号」、国家電力投資が開発完了 無料記事

 中国が次世代原子炉の開発を加速している。中国電力投資集団公司と国家核電技術公司の統合を通じて発足した国家電力投資集団有限公司は28日、第3世代原子炉「国和一号(CAP1400)」の設備開発を終えたと正式発表した。
 ウェスティングハウス・エレクトリック・カンパニー(WH)の開発した2ループ構成の第3世代PWR(加圧水型原子炉)「AP1000」(出力1100MW)の技術を取り込んだうえで、改良を加えて「国和一号」を設計した。1基当たり出力を1500MW(150万kW)にまで増強している。原発事故後、72時間は人的な作業に頼らなくても済む安全設計を導入した。既に2016年4月、国際原子力機関(IAEA)の認証を受けている。
 圧力容器、蒸気発生器、制御棒駆動機構、ポンプなど、モデル設備の国産化率を85%以上にまで高めた。世界最高水準の性能を擁するという。「国和一号」のモデル事業に関しては、99.2%の設計作業を完了した。
 1時間当たりの発電量は150万キロワット時(kWh)に上る。年間の発電量は130億kWh近く。原子炉モジュールの設計寿命は60年に及ぶ。重大事故の発生率に関しては、第3世代原子炉と比べて100分の1に抑えた。住民2200万人の電力消費需要を満たす。二酸化炭素などの温暖化ガスを毎年900万トン以上削減可能だ。
 中国とWHは07年に技術移転契約を締結。当時の国家核電技術公司が「国和一号」の開発に乗り出した。中国は同モデルと同じく第3世代原発の「華竜一号(HPR1000)」も保有。将来の輸出を視野に入れ、すべての知的財産権を保有し、自主開発したと主張している。
 同じくPWRの「華竜一号」は、国策企業の中国広核集団有限公司(CGN)と中国核工業集団有限公司(CNNC)の国有2大原発企業が共同で開発した。CGNが持つCPR1000(フランス系)の改良第3世代炉「ACPR1000」技術とCNNCが自主開発した第3世代炉「ACP1000」技術を融合した。容量100万kW級の電源となる。パキスタンが採用を決定した。国際慣例では、原子炉を輸出する前に、国内で同一型式のパイロット事業が推進される。これに基づき、福建省福清5・6号機と広西省防城港の各原発で「華竜一号」実証炉プロジェクトが着工された。広東省太平嶺原発第1期1号機・2号機、福建省ショウ州原発1期1号機・2号機にも「華竜一号」が採用される。
 中国は原発設置を強力に推進中だ。19年末時点の総容量は4874万kWに拡大し、世界3位の「原発大国」に浮上している。建設中原発の総容量は、世界最多の1715万kWに達した。ただ、全電源容量に占める原発比率はわずか2.4%のみ。世界平均の5.4%を下回っている。


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