ニュース 2023/08/17 14:33
中国:宝くじ販売急増、景気減速や若年失業増を反映か
経済・統計
【亜州ビジネス編集部】中国で宝くじ販売が急増している。財政部のデータによると、今年1〜6月の全国販売額は前年同期比50.4%増の2739億人民元(約5兆5400億円)に拡大した。増加率は前年同期の2.0%、前年通期の13.8%から急加速している状況だ。一部では、これが中国の景気減速、若年層の失業率の上昇を反映した現象で、厳しい生活の中で「一攫千金」を狙う若者が増えていると指摘する声もある。台湾メディアの信伝媒が17日伝えた。
今年1〜6月の宝くじ販売額のうち、「福利彩票」が20.2%増の898億人民元、「体育彩票」が71.7%増の1840億人民元だった。スポーツくじの体育彩票が全体の7割弱を占めている。
上海財経大学教授の黄振興氏は中国メディアの取材に対し、宝くじ人気の背景に景気の悪化があると指摘している。現在の国内経済に対する国民の自信のなさを反映していると分析した。一方で仏AFP通信は、若年層での宝くじ人気は「ストレス解消」の意味合いも大きいと指摘する。中国のショート動画アプリ「抖音」(中国版TikTok)では最近、宝くじのインフルエンサーも登場。その1人はAFP通信に対し、直近半年でフォロワー数が数百人から4万5000人にまで増えたと語った。同インフルエンサーは宝くじの購入に、毎月10万人民元を投入しているという。
信伝媒によると、過去の他国の事例からも、景気悪化時に宝くじ販売が増加する傾向が確認されている。研究機関のグローバル・ベッティング・アンド・ゲーミング・コンサルタントによると、2009年の金融危機の際、世界の宝くじ売上高は他のゲーム消費とは対照的に増加傾向を示したという。さらにインディアナ大学公共政策学者のジョン・L・マイクセル氏は1994年の時点で、失業率が上昇すると宝くじの売上高が増加するとの相関性を指摘している。
ただ、宝くじの売上高が景気指標としてどの程度有効であるかは、エコノミストらの間でまだ議論されている段階という。
なお、中国の国家統計局は今月15日、7月経済指標の発表時に「年齢別失業率」の公表を停止した。今年6月の実績は16〜24歳が21.3%、25〜59歳が4.1%となり、うち16〜24歳は記録が残る18年以降で最悪を更新していた。統計局の付凌暉・報道官は発表停止の理由について、「経済・社会情勢が絶えず変化するなか、労働力統計も改善・最適化していく必要があるため」と説明している。
内容についてのお問い合わせは<info@ashuir.com>まで。
今年1〜6月の宝くじ販売額のうち、「福利彩票」が20.2%増の898億人民元、「体育彩票」が71.7%増の1840億人民元だった。スポーツくじの体育彩票が全体の7割弱を占めている。
上海財経大学教授の黄振興氏は中国メディアの取材に対し、宝くじ人気の背景に景気の悪化があると指摘している。現在の国内経済に対する国民の自信のなさを反映していると分析した。一方で仏AFP通信は、若年層での宝くじ人気は「ストレス解消」の意味合いも大きいと指摘する。中国のショート動画アプリ「抖音」(中国版TikTok)では最近、宝くじのインフルエンサーも登場。その1人はAFP通信に対し、直近半年でフォロワー数が数百人から4万5000人にまで増えたと語った。同インフルエンサーは宝くじの購入に、毎月10万人民元を投入しているという。
信伝媒によると、過去の他国の事例からも、景気悪化時に宝くじ販売が増加する傾向が確認されている。研究機関のグローバル・ベッティング・アンド・ゲーミング・コンサルタントによると、2009年の金融危機の際、世界の宝くじ売上高は他のゲーム消費とは対照的に増加傾向を示したという。さらにインディアナ大学公共政策学者のジョン・L・マイクセル氏は1994年の時点で、失業率が上昇すると宝くじの売上高が増加するとの相関性を指摘している。
ただ、宝くじの売上高が景気指標としてどの程度有効であるかは、エコノミストらの間でまだ議論されている段階という。
なお、中国の国家統計局は今月15日、7月経済指標の発表時に「年齢別失業率」の公表を停止した。今年6月の実績は16〜24歳が21.3%、25〜59歳が4.1%となり、うち16〜24歳は記録が残る18年以降で最悪を更新していた。統計局の付凌暉・報道官は発表停止の理由について、「経済・社会情勢が絶えず変化するなか、労働力統計も改善・最適化していく必要があるため」と説明している。
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