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  ニュース     2024/11/08 10:09

中国:新興EVブランド「ナタ汽車」、従業員7割削減の観測浮上 無料記事

 【亜州ビジネス編集部】発足10年を迎えた合衆新能源汽車有限公司(Hozon New Energy Automobile)に関し、経営不安定化の観測が流れ続けている。中国メディアの財聯社や21世紀経済報道などが7日までに報じたところによると、同社傘下の「ナタ汽車(NETA)」ブランドは、最大70%の人員削減に踏み切る見通し。会社側は否定しているものの、給与の多寡に応じた賃金引き下げも計画している。

 市場のうわさでは、従業員が1000人を超えるナタ汽車は、年間給与額が100万人民元(約2140万円)以上で賃金3割カット、50万~100万人民元で賃金20%カット、30万~50万人民元で賃金10%カット、30万人民元未満で5%賃金カットなどに踏み込む。

 一方、会社側はこれに反論しながらも、組織の簡素化や一部従業員の解雇、賃金体系の見直しなどを検討しているとコメントした。また株式5%(時価20億人民元相当)を供出し、従業員向けストックオプション制度を導入する方針を決めたという。

 ここで注目すべき点は、ナタ汽車の新車販売苦戦だ。まだ10月の月次販売を公表していないものの、9月の納車実績は前年同期比23%減の1万118台に低迷している。1~9月の年初来累計で8万6000台にとどまり、年間目標(20万台)の達成率はわずか43%に過ぎない。新興EVメーカーの一角が5万台を超える月次販売を達成するなか、ナタ汽車の不調は否めない事実だ。

 14年に発足した同社は、18年にファーストモデル「N01」を納車開始した。出荷台数は21年の6万4230台から23年には12万4189台まで拡大した経緯がある。現時点では、国内の桐郷(浙江省)工場を自前で運営するほか、タイ、インドネシア、マレーシアのパートナー工場に生産を委託した。

 合衆新能源汽車は今年6月26日、香港証券取引所に新規株式公開(IPO)申請を提出した。中国国際金融(CICC)、中信証券、モルガン・スタンレーなどがスポンサーを担当。調達規模や上場スケジュールなどは未定だが、これ以前の報道では10億米ドル(約1530億円)に上る見込みと伝わっている。調達資金は海外市場の開拓やソフト・ハードウエア技術の向上、中国国内での販売・サービス網の拡充などに充てる計画だ。


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