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  ニュース     2019/03/19 13:50

中国:3年ぶり原発着工許可へ、広東と福建に「華竜1号」2基ずつ 無料記事

 原子力発電所の建設プロジェクトに3年ぶりの着工許可が下された。巨額投資による景気の浮揚、国家エネルギー安全保障の強化が狙いとみられる。生態環境部は18日、原発プロジェクト推進に絡んだ環境アセスメント報告2件を受理したと発表。それぞれ6月に着工されるとの見通しを明らかにした。

 着工が秒読み段階に入ったプロジェクトは、投資額412億人民元(約6840億円)の「中広核広東省太平嶺原発第1期1号機・2号機」と投資額400億人民元超の「福建省ショウ州原発1期1号機・2号機」。太平嶺原発は6月に着工される見込みだ。ショウ州原発は6月30日にも着工される。着工10カ月後、2号機もそれぞれ着工される予定だ。合計4基の原子炉「華竜1号(HPR1000)」を採用する。

 PWR(加圧水型原子炉)の「華竜1号」は、中国が唯一、自主知的財産権を擁するとされる第3世代原子炉。国策企業のCNNPと中国広核集団(CGN)の技術を融合させて誕生した。すでにパキスタンと英国の原発への採用が決定。高速鉄道技術に続く「中国製造」の代名詞となった。国際慣例では、原子炉を輸出する前に、国内で同一型式のパイロット事業が推進される。これに基づき、福建省福清と広西省防城港の各原発で「華竜1号」実証炉プロジェクトが着工。2020〜21年にかけて運転を開始する運びだ。

 中国には膨大な原発需要がある。中国政府は「原子力発電中長期発展計画」を策定済み。原子力プラントの稼働総容量を2020年に5800万キロワットにまで高める計画を打ち出した。建設中は3000万キロワットを目指す。稼働と建設中と合わせ、合計8800万キロワットとなる計算だ。

 一方、国家能源局の最新統計によれば、今年1月20日で全国の稼働中原発は4590万キロワット、建設中は1218万キロワットで合計5808万キロワット。20年の目標と比較し、2992万キロワットの開きがある。目標をクリアするためには、100万キロワット級の原発30機が必要。1機当たりの費用を200億人民元と仮定すると、総額6000億人民元(約9兆9600億円)の投資需要が生じることとなる。


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