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  ニュース     2025/10/08 10:59

中国ポップカルチャーが世界席巻、玩具からEVまで人気拡大 無料記事

【亜州ビジネス編集部】 中国発のポップカルチャーや先端技術を活用した製品が、世界市場で急速に存在感を高めている。かつて「中国流行音楽」を指していたCPOP(Chinese Pop)は、現在では音楽にとどまらず、ゲーム、デザイナーズ・トイ(潮流玩具)、映像作品、文学、先端技術などを含む多分野の中国カルチャーを指す言葉へと進化している。製品の輸出からブランドの発信へと軸足を移しながら、「中国范儿(ファン)」と呼ばれる独自のスタイルが世界を席巻しつつある。中国政府系メディアが6日付で報じた。

 その象徴のひとつが泡泡瑪特国際集団(ポップマート・インターナショナル・グループ:9992/HK)が展開する世界的な人気キャラクター「Labubu(ラブブ)」だ。尖った耳と牙をのぞかせるユニークな表情で、世界中の若者の心をつかんだこの玩具は、豪州・シドニーでは深夜に商業施設前に長蛇の列を生み、韓国では購入を巡って若者同士が口論に発展。米国では玩具店が深夜に盗難被害を受け、狙われたのはこの中国製のマスコットだった。こうした中、ポップマートの海外売上高は2025年上半期(1~6月)に爆発的に拡大。うちアジア太平洋地域が前年同期比257.8%増の28億5000万人民元(約610億1500万円)、米州が同1142.3%増の22億6000万人民元、欧州とその他地域が729.2%増の4億8000万人民元となった。

 同社は「文化輸出」ではなく「文化融合」を掲げ、世界各国の200人以上のアーティストと契約。地域ごとの文化的モチーフを取り入れたラブブのデザインを展開し、ルーブル美術館やオックスフォード・ストリートなど著名地にもテーマ店やポップアップストアを出店している。ある経済学者はラブブの成功について、「エモ消費(感情、エモーショナルによる満足度や体験を重視した消費行動)」の台頭と位置づけ、開封動画や二次創作を通じてユーザー同士がつながり、SNS上で活発なコミュニティが形成されていると指摘する。

 ゲーム分野では、アクションRPG『黒神話:悟空』が世界的ヒットを記録。『西遊記』をベースにした物語構造は、海外ユーザーにとって、文化的な馴染みの薄さがありながらも、逆に探究心を刺激。SNSでは多言語版の『西遊記』を読む動きが広がり、86年版ドラマを視聴するユーザーも現れた。

 ハードウエア分野でも中国ブランドが躍進している。影石(Arashi Vision)のアクションカメラ「Insta360 X5」は、発売初日から米アマゾンなど8カ国で単品売上トップを獲得した。比亜迪(BYD:1211/HK)のEV輸出台数は2024年に前年比71.8%増の43万3000台に膨らんだ。

 英国の戦略学者ピーター・フィスク氏は「中国は技術革新のリーダーとなった」と述べており、文化と技術の両輪で世界を魅了する中国ブランドは、今後さらに多様な形で台頭していくとみられる。ラブブや『黒神話:悟空』のように文化的な背景と独自性で世界のファンを獲得するブランド、そしてInsta360やBYDのように技術力で市場を牽引するブランド──そのいずれもが「新たな中国范儿」の担い手として、グローバル舞台での存在感を高めている。



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