ニュース 2025/09/17 09:45
中国:小さなマスコットが熱狂呼ぶ、新消費文化「包挂」 
経済・統計

フィギュア・玩具の企画開発や販売を手がける泡泡瑪特国際集団(ポップマート・インターナショナル・グループ:9992/HK)の人気IP「Labubu(ラブブ)」や短編アニメシリーズ「浪浪山小妖怪」
とのコラボ商品などが話題を集め、各地の博物館も「文物シリーズ」として独自の包挂を展開。こうした“包搭子(バッグの相棒)”と呼ばれるマスコットが若者を中心に支持を広げている。
生活雑貨チェーンの名創優品(MINISO)は、ハローキティや「ちいかわ」など150以上の海外の人気IPと連携し、多彩な包挂を投入。今年の販売数はすでに1200万個を超えた。商品の6割以上が30人民元(約620円)以下と手頃な価格帯で、消費者の“推し活”需要を取り込んでいる。同社によれば、包挂はぬいぐるみカテゴリーの中でも35%以上を占める主要商品群に成長している。
一方、傘下のデザイナーズトイ専門店「TOP TOY」は、今年のソフトビニール製マスコットの売上高がすでに前年比で200%増の2億人民元を突破。開発期間が短く、形状や素材の自由度が高い包挂は、企業にとっても効率的な商品開発手段となっており、若年層の多様な嗜好に応える新たな体験価値を提供している。
こうした盛り上がりは、9月に開催された中国国際サービス貿易交易会でも顕著に表れた。ポップマートやLetsvan奇夢島などのデザイナーズトイ企業が出展した会場には多くの来場者が詰めかけ、人気IPとの記念撮影や“盲盒(ブラインドボックス)”の開封体験を楽しむ姿が見られた。Letsvan奇夢島によれば、初日にWAKUKU関連商品の売上高が数万人民元に達するなど、IPの“破圈(ジャンルを超えた人気)”が消費をけん引している。
国研新経済研究院の朱克力院長は、「包挂経済」の背景には“情緒消費”の台頭があると指摘する。若者は自己表現や共感を重視し、包挂はその感情を可視化する手段として機能する。触れることができる実体のあるアイテムは、SNSなどのバーチャルな交流よりも強い共鳴を生み、消費動機を高めているという。
中国では「谷子経済(アニメグッズ経済)」に続き、「包挂経済」が新たな消費現象として台頭。『中国潮玩与動漫産業発展報告(2024)』によれば、26年にデザイナーズトイ市場規模が1101億人民元に達し、年平均成長率は20%を超える見通しだ。
今後は、IPコンテンツと素材・機能の融合による商品開発が進み、包挂はファッションやライフスタイルの一部として定着する可能性がある。
内容についてのお問い合わせは<info@ashuir.com>まで。














