ニュース 2026/03/23 14:20 NEW!!
半導体業界コラム:中東紛争で供給不安 中国向けAI チップは再始動 
コラム 電子・半導体
世界の半導体業界では、足元で「中東紛争による供給ショック」と「中国向けAIチップ供給の再始動」が同時進行している。最も警戒される戦略物資はヘリウム(He)といえる。マレーシアの半導体業界団体は3月18日、カタールの天然ガス処理停滞を受けてヘリウム価格が急騰し、アジアの半導体サプライチェーン全体でリスク監視を強めていると報告した。前工程などで不可欠なヘリウムは、現時点では在庫確保や調達先の分散でしのげても、紛争が長期化すれば、中国を含むアジア全体のAIチップ、メモリー、ロジックの生産コストを押し上げる恐れがある。
ただ、中国にとって最大の好材料は、AIチップの調達環境が改善した点だ。米商務省は13日、AIチップ輸出規制に関する新たな草案ルールを取り下げた。その草案には、外国政府による対米投資や安全保障上の保証を条件に大型案件を認める方向性が含まれていた。これを受け、エヌビディアは17日、対中輸出規制に適合した「H200」の生産再開を表明した。中国は、米中規制の綱引きが続くなかでも、最先端ではないものの実用性の高いAIチップを再び確保しやすくなり、国内クラウド事業者の投資や推論需要を下支えする材料を得た格好だ。
一方、メモリー需給とAIデータセンター(AIDC)向け計算資源は依然として逼迫している。サムスン電子は18日、AIDC投資が半導体業界を「前例のないスーパーサイクル」に導くと説明し、主要顧客との契約を3~5年の複数年契約へ移行させる考えを示した。これは、AI向け需要が短期的なブームではなく、中期的な供給制約要因になっていることを意味する。中国市場にとっては、AIサーバーやデータセンター拡張の継続が演算需要を支える半面、中東紛争に伴うエネルギー・素材コスト上昇が、そのまま設備投資負担に跳ね返る構図だ。
こうした影響は、すでにスマートフォン分野にも波及し始めている。OPPOとVivoは3月中旬、メモリーチップ高騰を理由に一部機種の値上げを相次いで発表した。2026年第1四半期の市場価格は、DRAMが50%超、NANDが90%超上昇し、全体の部材コストは11~25%増えたとされる。IDCも、2026年の世界スマートフォン出荷台数が12.9%減の11億2000万台に落ち込むと弱気に予測した。AIDC向けにメモリー需要が集中する一方、消費者向け端末は値上げと需要減速に直面している。足元の半導体産業は、「中国のAI演算資源は改善」「中東紛争で素材・エネルギー不安は悪化」「メモリー高でスマホは逆風」という3つの力が同時に作用する局面にある。
【亜州ビジネス編集部】 半導体ウィークリー3月19日号「今週の動きより」
内容についてのお問い合わせは<info@ashuir.com>まで。
ただ、中国にとって最大の好材料は、AIチップの調達環境が改善した点だ。米商務省は13日、AIチップ輸出規制に関する新たな草案ルールを取り下げた。その草案には、外国政府による対米投資や安全保障上の保証を条件に大型案件を認める方向性が含まれていた。これを受け、エヌビディアは17日、対中輸出規制に適合した「H200」の生産再開を表明した。中国は、米中規制の綱引きが続くなかでも、最先端ではないものの実用性の高いAIチップを再び確保しやすくなり、国内クラウド事業者の投資や推論需要を下支えする材料を得た格好だ。
一方、メモリー需給とAIデータセンター(AIDC)向け計算資源は依然として逼迫している。サムスン電子は18日、AIDC投資が半導体業界を「前例のないスーパーサイクル」に導くと説明し、主要顧客との契約を3~5年の複数年契約へ移行させる考えを示した。これは、AI向け需要が短期的なブームではなく、中期的な供給制約要因になっていることを意味する。中国市場にとっては、AIサーバーやデータセンター拡張の継続が演算需要を支える半面、中東紛争に伴うエネルギー・素材コスト上昇が、そのまま設備投資負担に跳ね返る構図だ。
こうした影響は、すでにスマートフォン分野にも波及し始めている。OPPOとVivoは3月中旬、メモリーチップ高騰を理由に一部機種の値上げを相次いで発表した。2026年第1四半期の市場価格は、DRAMが50%超、NANDが90%超上昇し、全体の部材コストは11~25%増えたとされる。IDCも、2026年の世界スマートフォン出荷台数が12.9%減の11億2000万台に落ち込むと弱気に予測した。AIDC向けにメモリー需要が集中する一方、消費者向け端末は値上げと需要減速に直面している。足元の半導体産業は、「中国のAI演算資源は改善」「中東紛争で素材・エネルギー不安は悪化」「メモリー高でスマホは逆風」という3つの力が同時に作用する局面にある。
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