米電気自動車（EV）大手のテスラ（TSLA/NASDAQ）が上海市内で整備を進める自社初の海外完成車工場について、「9月にも試験生産を開始する」との見通しが浮上した。今月29日にも新規採用者向けの研修をスタート。最短で7月末に第1陣の生産ライン労働者を迎え入れる段取りという。21世紀経済報道が16日付で伝えた。

　上海の巨大工場「Gigafactory 3」は今年1月に正式着工。計画によれば、今年9月にプレス、溶接、塗装、組立の完成車ライン、20年3月に動力システムなどその他重要機能区を順次完成させる。上海市政府による7月2日時点の発表によれば、組み立てラインの工場建屋はすでに完成し、設備搬入の段階に入った。この進ちょくで見ても、9月末の試験生産開始は不可能な日程でないだろう。

　工場着工と同時に、テスラはエンジニアや高級技術者などの雇用を小規模で進めてきたが、その次段階として工場第1線で働く現場従業員の募集を急いでいる。上海市内で今年5月末と7月に、生産ライン従業員向けの大規模説明会を立て続けに開催した。しかも7月の説明会は二次面接を省略。面接後1週間で採用結果を通知するなど、採用ピッチを明らかに速めたという。

　「Gigafactory 3」の投資総額は500億人民元（約7860億円）。現在建設している第1期の「第1段階」は、140億人民元でEV年産力15万台の完成車組立ラインを整備する。まず「Model 3」を現地生産する計画だ。年内は週1000台ペースとする。最終的に週3000台を確保する予定。テスラの出荷能力を四半期ベースで3万6000台加算する構想だ。

　テスラは過去の年次報告書で、「Model 3」と「Model X」を合わせた2019年出荷台数を36万〜46万台とする計画を繰り返し掲げている。達成するには四半期ベースで9万〜10万台の出荷規模を確保しなければならないが、足元の実績はこれをはるかに下回っているのが現状だ。テスラのイーロン・マスク最高経営責任者（CEO）はこれ以前に、「上海工場をより早期に稼働できるかどうかは、自社の今年出荷量を占う重要要素だ」と断言している。

　輸入版「Model 3」投入が奏功する形で、テスラは中国販売シェアを拡大している。調査会社ニールセンのまとめによれば、中国のメーカー別新エネルギー車販売で、テスラは今年3月以降、月間ランキング上位10社入りをキープ。海外ブランドで唯一の10位圏内入りを果たしている。テスラの中国販売は、3月が8584台、4月が1925台、5月が3015台で推移。うち「Model 3」で7515台、1654台、2086台を売った。6月のテスラ車中国販売は5900台に積み上がったとみられている。


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