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  ニュース     2019/07/11 08:53

中国の「AI人材」不足500万人超、育成・誘致で米国に出遅れ 無料記事

 「第四次産業革命」に不可欠な技術の一つである人工知能(AI)の分野で、中国教育部などの試算によれば中国は500万人超の人材が不足している。1人の「AI人材」を企業10社が争奪している構図で、需給バランスの均衡には程遠い。人材の育成と誘致は“待ったなし”の状況に置かれている。前瞻産業研究院がこのほど報告した。

 AI人材の育成と誘致で、中国は米国に出遅れている。カナダ企業のElement AIがまとめた「2019年度グローバルAI人材報告」によると、AI人材誘致数で上位5カ国は、上から順に米国、中国、英国、ドイツ、カナダの順。同5カ国で世界AI人材の72%を獲得した。中国は2番手に位置するものの、誘致数では米国の4分の1に過ぎない。

 同リポートによれば、中国人の「ハイレベルAI研究員」は、全体の58%が米国で博士号を取得。中国の取得は35%にとどまった。さらに米国で博士号を取得した中国人のうち、78%は米国の企業や研究機関に就職。帰国者は21%の比率に低迷している。世界全体のAI人材でみても、博士号取得地は米国が44%で最多。中国は11%にとどまった。以下、英国が6%、ドイツとカナダが5%、フランスと日本が4%で続いている。

 また、中国のAI人材育成に関しては、質より量を求める量産モデル型と指摘された。清華大学が18年6月に発表した「中国AI発展報告」によれば、中国はAI論文発表数と引用数で世界TOPに立ったにもかかわらず、AIトップ人材の総数では世界6位に甘んじている状況。米国、英国、ドイツ、フランス、イタリアの後塵を拝した。

 国務院が17年に公布した「次世代AI発展計画」では、「AI高度人材の育成加速」が重点任務の一つに掲げられている。AI教育に巨額公的資金を投入する方針を明示した。大学など高等教育向けに国が18年に投じた額は2900億人民元(4兆5600億円)の規模。19年予算は3000億人民元超に積み増されている。こうしたなか、大学のAI人事育成はスタートしたばかり。18年にAI専門学部の創設を許可した。第1陣として全国35大学が創設資格を得ている。

 前瞻産業研究院のまとめによると、中国のAI市場規模は15年に100億人民元の大台を突破して急増。前年比で16年は27%増の142億人民元、17年は53%増の217億人民元と加速度的に伸びている。18年は概算339億人民元に拡大。前年比成長率は56%と、世界平均(17%)を39ポイントも上回った。19年は500億人民元、20年は710億人民元が予想された。2015〜20年で年率平均44.5%の高成長が見込まれている。


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