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  ニュース     2020/08/14 18:59

「孔子学院」を中国の宣伝機関として認定=米国務省 無料記事

 米国が中国に対する圧力を強めている。米国務省は13日、中国語・中国文化の普及を目指して海外の大学などに設立されている「孔子学院(英名:Confucius Institutes)」の米国拠点について、中国大使館などと同様の「中国の外交使節団(a foreign mission of the PRC)」に認定した。「(孔子学院が)海外でのプロパガンダ活動を担い、米大学キャンパスやK-12(幼稚園〜高校)教室に対し、悪意あるキャンペーンを推進している」と警鐘を鳴らしている。「孔子学院」の運営には、中国や中国共産党の世界的な影響・工作機関から資金の一部が流れ込んでいると指摘した上で、孔子学院に対し、大使館に適用されるものと類似の登録(職員名簿、保有資産リストなど)を要求した。
 ポンペオ国務長官はトランプ政権として、対中政策で「公正かつ互恵的な扱い」を求めると強調。過去40年以上にわたり、中国側が米国の開放性を利用して豊富な資金による宣伝活動を行う一方、米国人や他の外国人に対しては同様のアクセスを拒否してきたと非難している。
 今回の決定の狙いについては、「中国共産党やその代理人の影響を受けずに、米国の学生が中国語・中国文化にアクセスできるようにしたい」とコメント。全米の大学で中国の影響力を調査し、教育者・学校管理者が孔子学院のプログラムを続けるべきかどうか、続けるとしたらどのような方法で続けるかを選択できるようにする方針を示した。
 米国政府は今年に入り、中国のプロパガンダ機関とみなす対象を拡大中。今年2月には、国営新華社通信など中国のメディア5社を「外交使節団」に認定した。6月には、中国中央電視台(CCTV)などメディア4社も同様に「外交使節団」として指定している。
「孔子学院」は今年で、2004年のスタートから16年目を迎えた。その数は19年末までに、世界162カ国・地域の550カ所に増えている。このほか、海外の小中学校と提携して展開する「孔子課堂」の数は1172カ所に達した。中国から派遣した教師の数は延べ12万人に上っている。
 19年時点で世界69カ国が中国語学習を教育システムに組み込んだ。米国では中国語学習者が280万人を超過し、ドイツでは過去5年で10倍に増えたとのデータもある。また最近の「孔子学院」では、語学だけでなく、専門分野の知識も学ぶ「実践型カリキュラム」も人気。高速鉄道や自動車、航空などの分野が用意されている。16年にタイで始まった「中国語+高速鉄道」カリキュラムは、これまで技術者100人以上を育成した。


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