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  ニュース     2020/01/10 18:59

中国:聯動雲「個人間カーシェア」参入、オーナー1万人取り込みへ 無料記事

 中国の個人間カーシェアリングサービスに新規プレーヤーが参入する。カーリースや自動車販売などを手掛ける深セン前海聯動雲汽車租賃有限公司(LDYGO)が3日、進出を宣言した。個人間カーシェアアプリをめぐっては、需給ミスマッチや車両事故処理などの問題が壁となって撤退を余儀なくされる企業が相次いだ混乱続きの新興業態。地方中小都市を中心に、従来内燃機車リースを手広く展開してきた聯動雲の新規参入が業界の流れを変えるゲームチェンジャーとなるかに注目が集まっている。経済観察報が9日付で伝えた。
 聯動雲の首脳陣は、「まず車オーナー1万人を登録会員に呼び込む」と強気。「中国国内には少なくとも自家用車1000万台が遊休状態にある」とする自社データを公表した。特に北京、上海、広州、深センの四大都市圏は遊休車両がそれぞれ80万台を超える規模にあると指摘。これら大都市は車ナンバー発給規制や走行規制が導入されているだけに、多くの市民の車利用需要が満たされていないと現状を説明した。
 個人間カーシェア参入に当たって、聯動雲は車両オーナーと利用者の双方から手数料を徴収しない。車両メンテナンスや保険代理販売、中古車買い取り、燃料補給などの付帯サービスによって利益を得るビジネスモデルを採用した。
 車の貸し出し時間帯や、利用者の性別、年齢、運転歴、信用クレジット、喫煙有無などの条件設定は車オーナーに一任。アプリ利用者は聯動雲があらかじめ設定したセットプランに基づき、利用したい車両や料金プランを選ぶ。車オーナー側には愛車を貸し出すことで、オートローンや保険費用など車両維持費を賄えるメリットが生まれる。
 聯動雲は、カーリースを含め既存事業でまだ利益計上していないものの、2019年初に営業キャッシュフローがプラスに浮上。20年はカーリースと個人間カーシェアを両輪とした事業展開を進める戦略だ。既存カーリース事業で培ったスケールメリットを生かして新事業の初期投資を抑えるなど、コスト削減の相乗効果を得ることで収益化を目指す。
 深セン市内で16年7月25日に発足した聯動雲は、300都市の3万カ所にサービス拠点を展開。カーリース部門では、SUVを中心にガソリン・ディーゼル車7万台を保有し、登録会員は1000万人の規模だ。19年に保有車両を前年比285%増やし、買い付け量で業界首位に立つなど勢いが目立つ。今年は深セン市で電気自動車(EV)リースを実験的に開始する。
 個人間カーシェアは、車オーナーが所有車を個人向けに貸し出すサービス。ガレージに眠っている車を有効活用できる「シェアリングエコノミー」に基づく概念だ。海外では09年創業の米「テューロ(Turo)」が先駆け。中国では14年に市場が勃興し、「PP租車」、「凹凸租車」、「宝駕租車」、「友友租車」などアプリサービスが相次ぎ誕生した。ただ、中国で事業を軌道に乗せた企業は少なく、ほとんどの企業が吸収合併や他業種転換などに追い込まれた経緯がある。


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