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  ニュース     2020/06/04 18:59

中国:「医療用消耗品」集中調達スタート、省や都市間で共同実施 無料記事

 薬価制度改革の一環として中国で始動した医薬品の「集中調達」制度は、対象が一段と拡大されている。今回は新たに「医療用消耗品」の調達活動が始まった。これまでと異なるのは、省や都市レベルの連盟方式を取り入れた集中調達が展開されている点だ。業界関係者の間では、「各連盟間で情報共有が進めば、調達価格が全国統一される実質的な効果を生み出す」との期待感も浮上している。21世紀経済報道が4日付で伝えた。
 国家医療保障局は3月中旬、モデル11行政区(江蘇省、安徽省、福建省、青海省、上海市、浙江省、湖南省、重慶市、四川省、陝西省、寧夏回族自治区)で向こう6カ月内(9月中旬まで)に高額医療用消耗の集中調達を開始するよう指示。残り23行政区に対しても、モデル地域に倣って集中調達を積極展開するよう求めた。
 すでに多くの省・直轄市が高額医療用消耗品の集中調達に乗り出している。5月9日には、眼科手術に用いられる人工水晶体消耗品の第1弾集中調達活動が天津で開催された。北京、天津、河北、黒竜江、吉林、遼寧、内モンゴル、山西、山東の華北9省・自治区の合同調達の形式が採られている。また21日は、重慶、貴州、雲南、河南の各医療保障局が連名で公告を発表。医療用消耗品の集中調達を共同実施すると予告した。
 業界関係者によると、聯盟方式は一定の買い付け量を確保できるメリットがある。集中調達価格は市価より低い水準で決定される傾向が強いだけに、メーカーの経営を下支えする意図があるという。
 事実、各地方政府主導で個別に実施されてきた医薬品集中調達は、調達価格や規模がまちまち。一部の地方政府で行われた調達入札結果で、医薬品メーカーによる全国価格システム構築の障害になり得る副作用も指摘されている。
 こうしたなか、医薬品集中調達制度を巡って業界関係者の間では「国が統一的に采配を振るべき」との要望が浮上。地方政府主導型の現行制度見直しを求める機運もみられる。


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