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  ニュース     2020/08/06 18:59

中国:EV充電インフラ波及効果期待、10年後市場は7.6兆円規模 無料記事

 政府が整備促進を大々的に打ち出した「新インフラ」戦略の追い風を受けて、中国の電気自動車(EV)向け充電設備設置事業は新たな好機を迎えている。充電器整備の加速は、直接的な投資だけでなく、その他関連産業の投資需要を喚起する効果が期待されるためだ。ある研究報告では、充電器設備製造と充電関連サービスを合わせた中国の市場規模について、向こう10年で5000億人民元(約7兆6140億円)を超えると展望している。中国政府系メディアが5日付で伝えた。
 充電器整備による経済波及効果は絶大と言えよう。送電ネットワーク管理・運営で国内最大手の中国国家電網有限公司(STATE GRID)は今年、EV充電器整備に27億人民元を投じ、7万8000基を新規設置する計画。これによってもたらされるEV消費効果について、200億人民元超と試算した。充電器整備に1人民元を投じるごとに、7倍規模のNEV需要を喚起する計算となる。
 送電2位の中国南方電網有限公司(China Southern Power Grid)もこのほど、EV充電器の整備計画を公表。向こう4年で251億人民元を投じ、集中型充電スタンド150カ所と、給電ポール38万基を新設する計画を表明した。この投資プロジェクトによって、送電ネットワーク整備や部品・設備製造など関連産業にもたらされる投資需要は2000億人民元と見積もっている。
 世界最大のEV市場に躍進した中国では、今年6月末時点の累計で各種EV充電器が世界最多の132万2000基整備されている。うち公共充電器は55万8000基、私設充電器は76万4000基を数えた。
 2015〜19年にかけて、中国の新エネルギー車(NEV)保有台数は58万3000台から381万台へと6倍規模に急拡大した。この5年間で充電器保有量は6万6000台から121万9000台へと18.5倍に増加。NEVと充電器の比率は「8.8台:1基」から「3.1台:1基」に改善している。
 しかしながら、設置場所が都市郊外に集中するなどの需給ミスマッチや、私設充電器の設置不足などを背景に、EVの充電環境は依然として良好と言えないのが現状。充電の不便さは、消費者がEV購入を躊躇する主因の一つとなってきた。


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