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  ニュース     2021/04/13 19:00

アント金融持ち株会社化で人民銀が再指導、「悪材料出尽くし」見方も 無料記事

 【亜州ビジネス編集部】中国人民銀行(中央銀行)は12日、阿里巴巴集団HD(アリババ・グループ・ホールディング:9988/HK)傘下の金融サービス会社、マ蟻集団(アント・グループ)に対して再度行政指導を行ったことを明らかにした。金融当局による監督の下、アントに対する全面的で実行可能な改革案がまとまったと報告。電子決済サービスと他の金融サービスとの不当な連携を見直すなど、5項目の改革を進めるようアントに求めたと説明した。
 今回の行政指導は、人民銀、中国銀行保険監督管理委員会、中国証券監督管理委員会、国家外貨管理局の4部門が共同で実施。改革案の内容は次の通りだ。
◆決済業務における不当競争行為を是正する。電子決済サービス「支付宝(アリペイ)」について、消費者金融サービスの「花唄(ファーベイ)」「借唄(ジエベイ)」など他の金融サービスとの不当な紐づけを停止する。
◆情報の独占を禁止する。個人情報の収集・利用にあたっては「合法、最低限、必要性」を順守する。
◆アント・グループ全体で金融持ち株会社の設立申請を行い、金融活動に従事する全ての部門を同持ち株会社に組み入れ、当局監督下に置く。
◆金融当局の要求に従い、ガバナンスの改善に努める。
◆投資商品「余額宝(ユエバオ)」の残高を引き下げる。
 アリババに対しては今月10日、国家市場監督管理総局が独占禁止法違反で182億2800万人民元(約3000億円)の罰金を科すと発表したばかり。この罰金額は、独禁法違反としては過去最大だ。巨大ネットプラットフォーマーへと成長した同社に対し、中国当局は締め付けを強化している。
 ただ、これら一連の動きによって、市場では「アリババを巡る悪材料は出尽くした」との見方も強まる状況だ。昨年11月のアントの新規株式公開(IPO)中止以降、政策リスクの不透明感からアリババの株価は大きく下落していたが、前述の独禁法罰金が発表された翌営業日の12日には、同社株価が6.5%高と急反発した(一時9.0%高)。市場関係者の間では「目先のマイナス材料はほぼ織り込まれた」とし、「業績などのファンダメンタルズ面に再び投資家の関心が向かう」と指摘する声も聞かれる。


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