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  ニュース     2021/06/25 19:01

中国:退役動力電池に商機、25年の回収市場1.03兆円規模 無料記事

 【亜州ビジネス編集部】退役動力電池の回収・再利用は、数年後にピーク期を迎える見込みだ。電池寿命約8年で試算した場合、最速で2025年に回収数量が最大に到達する。重金属などの汚染物質を多く含むだけに、解体には厳格な管理態勢が必要だ。将来を見据え、一部の中国企業は動力電池解体分野の投資を積み上げている。毎日経済新聞が24日付で伝えた。
 中国の新エネルギー自動車(NEV)保有規模は、世界最多を独走している。2018〜20年にかけて毎年100万台以上が販売された。20年末時点の全国保有は492万台(世界の約半分)を数える。
  中国電池産業研究院と研究会社EVTankが共同報告した「中国リチウムイオン電池業界発展白書(2021年)」によると、世界全体のリチウム電池出荷は、静電容量ベースで25年にTWh(テラワット時)の規模に拡大する見込み。合計1196.8GWh(1.1968TWh、11億9680万kWh)に達すると分析された。うち中国は一国だけで568GWh(47.5%)を出荷するとみられている。また、別の資料では、25年の中国電池回収が総容量137.4GWhに上ると予測。回収市場の規模は600億人民元(約1兆300億円)を超えると試算された。
 こうしたなか、当局の中国工業信息化部(工業情報化部)は、「NEV動力電池回収利用管理暫定法」を18年に公布。まず全国27社に動力電池の回収・解体・再利用の事業ライセンスを与えた。うち格林美(GEM:002340/SZ)は、傘下企業の3社が得ている。
 廃棄物リサイクルの格林美は、動力電池の回収事業に25年から参入。回収と再利用に関する技術を蓄積してきた。事業の拡大にも積極的。同社は今月7日、動力電池回収の新規事業立ち上げに向けて無錫空港経済開発区と投資契約を交わした。当初10億人民元を投じ、10万トンの動力電池回収利用、10万台のNEV回収利用を進める計画。長江デルタで最も先進的な動力電池回収拠点となる見込みだ。無錫市を中心とする長江デルタには、中国NEV販売台数の30%以上が集中している。
 格林美が動力電池回収に費やした投資額は、足元で累計約15億人民元に達した。深セン市、武漢市、天津市などに分布する廃車産業団地7カ所と連携し、資源の再利用に布石を打っている。25年の動力電池回収重量25万トンを想定した。ニッケル4万5000トン、コバルト1万トン、リチウム1万トンの回収を目指す。


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