【亜州ビジネス編集部】中国の新車販売市場で、ディーラー在庫の指標が前月比でやや改善している。業界団体の中国汽車流通協会はこのほど、2021年5月の「自動車ディーラー在庫早期警戒指数（VIA）」が52.9に低下（＝改善）したと報告した。依然として節目の50を超えたものの、前年同期比で1.3ポイント、前月比で3.5ポイントずつ改善している。

　この背景には、一部人気モデルの品薄などがある。車載チップ不足で販売可能な自動車数が減少した。ただ、各ディーラーの経営状況は厳しい。連休要因による来店者減、一部エリアの新型コロナウイルス感染報告、南方の天候不順などが影響し、全体的な売れ行きはそれほど芳しくないと説明した。部品コスト高に直面した完成車メーカーが値引き幅を絞ったことで、ディーラーの利益率も削られたという。

　ブランド形態別のVIAは、前月比で輸入車・高級車が53.1→52.7、合弁が58.1→55.0、中国自主が64.9→57.7に変動した。総体的に改善している。

　エリア別のVIA動向は、北方エリア（北京市、河北省、河南省、黒竜江省、吉林省、遼寧省、内モンゴル自治区、山西省）が52.8→53.3（前月比↑0.5ポイント）、東方エリア（安徽省、江蘇省、山東省、上海市、天津市、浙江省）が57.0→54.5（↓2.5ポイント）、西方エリア（甘粛省、貴州省、陝西省、四川省、新疆ウイグル自治区、雲南省、重慶市、寧夏回族自治区、青海省、チベット自治区）が59.1→58.3（↓0.8ポイント）、南方エリア（福建省、広東省、広西チワン族自治区、海南省、湖北省、湖南省、江西省）が62.8→54.4（↓8.4ポイント）で推移した。

　VIA（Vehicle Inventory Alert Index）は製造業購買担当者景気指数PMIの算出法と類似。50を下回ると自動車在庫が適正レベルにあることを示す。逆に数値が高いほど、需要の低迷、在庫圧力の上昇、経営圧力の増大を示唆する。


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