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  ニュース     2020/12/09 19:59

中国:11月CPIは11年ぶり下落、金融政策への影響限定的か 無料記事

 中国の国家統計局が9日発表した11月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で0.5%下落した。前年実績を下回るのは、2009年10月以来、11年1カ月ぶり。市場予想(横ばい)と前月実績(プラス0.5%)も下回った。ただ市場では、CPIのマイナス転落により中国当局が金融緩和へと一気にかじを切る可能性は低いとの見方が多い。複数メディアが伝えた。

 統計局のアナリストによると、CPIの下落は食品価格の下落が主因。中でも高騰を続けてきた豚肉が供給回復を受け、前年同月比で12.5%値下がりした(下落率は前月から9.7ポイント拡大)。また、ガソリンが17.9%、軽油が19.6%ずつ下落するなど、エネルギー価格の下落も目立つ。食品、エネルギーを除いたコアCPIは0.5%上昇し、上昇率は5カ月連続で同水準を維持した。

 CPIの下落について、同アナリストは比較対象となる前年同月の実績が高かった影響もあると説明。物価は総じて安定しているとの見方を示した。

 今後の見通しについては、CPIの下落が当面続く可能性が指摘されている。交通銀行のエコノミストは、豚肉価格の下落が続くとみられるほか、サービス業の需要がコロナ禍から完全に回復していない点をその理由に挙げた。ただ、上海証券のアナリストは、前年同期の反動でCPIの下落が続く可能性に言及しつつも、コアCPIは安定を維持すると予測している。

 また、物価動向を受けた当局の政策運営に関しては、直ちに金融緩和に転じるなどの対応は想定しにくいとの見方が多い。スタンダード・チャータードのエコノミストは、過去に豚肉の値上がりでCPIが加速した際にも、中国人民銀行(中央銀行)は金融引き締めを見送ったと指摘。単一の商品による一時的なCPIの変動に人民銀が即座に対応することはとは考えにくいと分析した。

 ほか華宝信託のアナリストは、需要刺激の面である程度の緩和的な政策は必要だが、不動産市場への影響を考慮すると適度な引き締めも必要になると説明。中国銀行保険監督管理委員会の郭樹清主席が先ごろ、不動産市場は金融リスクにおける最大の「灰色のサイ(高い確率で大きな問題を引き起こすと考えられるにも関わらず、軽視されてしまいがちな問題)」だとして強く警戒感を示したことに言及している。


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