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  ニュース     2020/11/11 18:59

中国:1カ月あまりでコークス27%値上がり、トン当たり4.01万円 無料記事

 鉄鋼生産などに用いられるコークス(骸炭)の値上がりが中国で目立っている。国内のコークス先物市場では、9月29日から相場が反発基調に転換した。その後、1カ月あまりの上昇率は27%に達している。中国証券報などが11日付で伝えた。
 11月10日の取引価格は一時、トン当たり2512人民元(約4万100円)にまで高騰。2018年10月以来、約2年ぶりの高値水準を切り上げた。
 この背景には、生態環境保護を優先する減産圧力がある。供給サイド改革の一環として、減産が進められてきた。業界関係者によると、各企業に生産設備の更新が求められるなか、各社は11月初めから生産停止の予定を相次ぎ策定した。短期間内に数百万トン規模の生産能力が淘汰される見込み。今年10〜12月にかけた第4四半期では、1000万トン以上が淘汰されると予想されているという。
 より質の高い工業生産の実現を目指し、製鉄業が盛んな河北省はコークス製造業の技術レベル向上に乗り出した。同省政府は2019年5月、炉室 (炭化室)の高度が4.3メートル以下のコークス炉に関し、2019年末までに改造、または減圧の計画を提出するよう要求。20年末までにすべての生産設備を停止するよう求めた。国が定めた自然保護区、水源保護区(準保護区を含む)、生態保護エリアのコークス炉についても、20年末までに全面閉鎖するよう命じている。
 一方、旧式設備を廃棄する見返りに、新規のコークス炉整備を認める。新たなコークス炉については、炉室 (炭化室)高度6.0メートル以上、年産能力100万トン以上となるよう要求した。一連の政策を通じ、コークス製造業の再編が進むとみられる。河北省全体のコークス年産能力は、20年末までに合計約8000万トンにまで圧縮される見込みだ。
 コークス炉は石炭を高温で蒸し焼きにする乾留工程を担う。イオウ、コールタール、ピッチ、硫酸、アンモニアなどの成分を除去することで、炭素の純度を高める装置。元の石炭よりも、より高温が得られるコークスなどを生成する。鉄鋼業で主に消費される。
ただ、川下の鉄鋼企業にとって、コークス値上がりはマイナス要因だ。鉄鋼業界の業績は、増収ながらも減益で推移している。出荷価格が上昇しない限り、利幅がさらに低下する見通し。鉄鉱石の値上がりが響き、重点鉄鋼企業の1〜9月利益は前年同期比で9.46%減少した。販売利益率も前年同期の平均4.71%から4.05%に0.66ポイント悪化している。


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