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  ニュース     2020/11/06 19:00

アリババ7〜9月期は調整後44%増益、コマース事業好調(詳報) 無料記事

 中国Eコマース最大手の阿里巴巴集団HD(アリババ・グループ・ホールディング:9988/HK)が5日引け後に発表した第2四半期(2020年7〜9月)決算は、売上高が前年同期比30%増の1550億5900万人民元(約2兆4300億円)、純利益が60%減の287億6900万人民元となった。特殊要因のはく落が減益要因。前年同期はマ蟻科技集団(アント・グループ)の株式取得に絡み特別利益を計上していた。また、アント関連の株式報酬費用がかさんだ格好だ。これら特殊要因を除く調整後の純利益(非GAAP)は44%増の470億8800万人民元に拡大。同希薄化後EPSは2.25人民元だった。
 売上高、調整後純利益ともに市場予想を上回った。主力のコアコマース部門のうち、中国小売事業が好調。新型コロナウイルス流行下で消費者の購買頻度が上昇し、消費支出が拡大した。また、中国の各業界でデジタル化が進む中、「阿里雲(アリババ・クラウド)」を擁するクラウドコンピューティングも大幅増収を確保している。
 コアコマース部門の売上高は29%増の1309億2200万人民元に伸長。うちEコマースサイトの「淘宝網(タオバオ)」や「天猫(Tモール)」を含む中国小売事業が26%増の954億7000万人民元を売り上げた。中でも「天猫」の商品取扱高(GMV)が21%増加している。また、物流サービス「菜鳥(ツァイニャオ)」事業は単価や受注の上昇を受け、売上高が73%増の82億2600万人民元に上った。
 クラウド部門の売上高は60%増の148億9900万人民元と高成長。主にインターネット、金融、小売業界の顧客からの収入が増加した。他部門の売上高は、デジタルメディア・エンターテイメント部門(優酷土豆、アリババ・ミュージックなど)が8%増の80億6600万人民元、イノベーションイニシアチブ・その他(オートナビ、AliOSなど)が10%増の11億7200万人民元に伸びている。
 20年9月中間期の業績は、売上高が前年同期比32%増の3088億1000万人民元、純利益が189%減の763億6000万人民元という結果。中国コアコマース事業の年間アクティブ購入者は7億5700万人と、前年比で6400万人増加している。月間モバイルアクティブユーザー数は8億8100万人で、同9600万人増加した。
 目先の注目材料は、今月の「シングルデー(独身の日、双11)」商戦だ。「天猫」では今年、セール日数を従来の1日から4日に拡大(11月1〜3日、11月11日の2段階に分けて実施)。セール対象商品も昨年から約4割増やし、消費者の取り込みを図る構えだ。一方、傘下アントの上場延期は不安材料。メディア報道によると、上場実現は半年〜1年後になるとの見方も浮上している。
 アリババは世界トップクラスのEコマース企業。1999年に馬氏が設立した(19年9月に会長引退)。「淘宝網」や「天猫」など個人向けECサイトを運営するほか、越境ECの「天猫国際」、BtoBの「1688.com」も展開。EC以外では、宅配スーパー「盒馬」、フードデリバリー「餓了麼」、動画ストリーミング「優酷」、クラウドサービス「阿里雲」などを傘下に擁する。海外事業では、16年に東南ア同業のラザダを買収している。


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