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  ニュース     2021/11/10 18:00

中国:14地域が賃上げガイドライン公表、8地域は上限ライン未設定 無料記事

 【亜州ビジネス編集部】各地方政府が定める賃上げガイドラインに関し、今年は半数以上の地域が上限ラインの提示を中止している。経済の伸びが鈍化するなか、急ピッチな上昇を抑える狙いがありそうだ。江西省や陝西省、福建省、チベット自治区、天津市、甘粛省、湖南省は公表を停止、山東省は今後提示しないと宣言している。中国政府系メディアが9日付で伝えた。

 今年は11月8日までに、14エリアの地方政府が2021年賃上げガイドラインを公表している。うち上限ラインは12.0%の山西省が最高。これに四川省の10.0%、吉林省と遼寧省の8.0%、内モンゴル自治区の6.8%、新疆ウイグル自治区の6.5%が続く。一方、多数派の8エリアは上限設定を見送った。

 また、基準ラインに関しては、多数が6〜8%に定めている。江西省と山西省は8.0%に設定した。半面、内モンゴル自治区は3.6%にとどめている。

 このほか下限ラインは、山西省と遼寧省が全国最高の4.0%。これに陝西省、四川省、吉林省の3.5%が続いた。新疆ウイグル自治区は1.5%と低めに定めている。山東省と内モンゴル自治区は設定自体を見送った。

 山東省当局によると、非私営企業・組織の平均給与は一定水準を超えて上昇した。今後は基準ラインのみ提示し、上限ラインと下限ラインは設定しないという。

 吉林省当局は「社会福祉」と「共同富裕」を優先すると説明した。経済成長に応じた賃上げ率に抑える方向性を打ち出している。

 中国では賃金の伸びが鈍化しつつある。国家統計局によると、20年の賃金水準は、非私営企業・単位が前年比7.6%増の9万7379人民元(約172万円)、私営企業・単位が7.7%増の5万7727人民元に達した。ただ、物価上昇分を除いた実質の賃金上昇率はそれぞれ5.2%と5.3%に低下する。また、伸びは前年比でそれぞれ2.2ポイント、0.4ポイントずつ鈍化した。

 中国の賃上げガイドラインには、基準値と上限、下限の引き上げ率が設けられる。当年の経済発展目標に基づいて、各地方政府が企業に対して示す年間賃金上昇率の目安。実際の昇給額とその幅を決定する際には、個別企業の運営状況、マクロ経済の情勢などを踏まえて、合理的な水準に設定するよう求めている(法的拘束力は持たない)。


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