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  ニュース     2019/03/29 18:48

中国:「スポーツ投資熱」再燃、スポンサーや放映権で場外戦 無料記事

 「サッカー競技」を中心に、中国のスポーツ産業を巡る商業投資が再び熱を帯びてきた。サッカーの2023年アジアカップ開催地に中国が立候補したことがきっかけ。FIFA(国際サッカー連盟)が26年のワールドカップから出場枠を48カ国に拡大すると発表したことも、中国代表のワールドカップ出場期待を高まらせている状況。「中国スポーツ産業は『黄金の10年を迎える』」と展望されている。21世紀経済報道が3月29日付で伝えた。
 ロシアで開催された18年ワールドカップは中国チーム未出場にもかかわらず、中国のスポンサー企業が存在感を際立たせている。中国の公式スポンサー企業は前回の1社から7社に急増。主要スポンサーの12社に至っては、中国企業が世界最多の4社を占めた。その宣伝効果は絶大。電動バイクメーカーの雅迪集団HD(YADEA:1585/HK)は、今年1〜3月販売が前年同期比で59%も増え、重点都市では400%増の驚異的な伸びを記録した。ハイテクデバイス開発の「LUCI」は、グローバルブランドとしての注目度が6倍に上昇。紳士服メーカーの「帝牌(DIKING)」は、カタールとアラブ首相国連邦の各サッカー連盟などからの受注を獲得。海外進出を果たした。
 一方、アジアカップは過去63回で中国スポンサー企業は皆無。中国代表の戦績が影響したとみられる。アジアサッカー連盟(AFC)が主催するAFCチャンピオンズリーグのスポンサー企業も、華潤怡宝(華潤創業の清涼飲料部門)と青島ビール(168/HK)の2社に限定されているのが現状だ。国信証券スポーツアナリストの董博雄氏は、「23年アジアカップの招致に成功すれば、中国企業の動きは一変する」と語っている。
 アジアカップに関連する中国の商業権は、エンターテイメント事業を手がける当代明誠(600136/SH)傘下の湖北登峰体育有限公司が一手に握っている。同社は18年、AFC主催の各競技について、2021〜28年にかけた放映権とスポンサー運営権を取得した。
 当代明誠は、今後AFCと共同で、AFCのスポンサーシステムを再構築していく方針を表明。「グローバル・スポンサー」階級の追加などを検討していると報告した。VR(仮想現実)内で広告を掲載する「VR広告」の導入も視野に入れているという。
 一方、サッカー国際試合の放映権を巡る競争では、「BAT」と呼ばれる百度(BIDU/NASDAQ)、阿里巴巴集団(Alibaba:BABA/NYSE)、騰訊HD(Tencent:700/HK)の中国インターネット3強の影もちらつく。アリババ傘下の動画配信サービス、優酷土豆(YOKU/NYSE)は中国移動(941/HK)子会社のミコ文化科技有限公司と共同で18年、サッカーワールドカップ中国区の新メディア放映権を26億人民元(約428億円)で取得した。また、百度傘下で動画配信サービスを手がける愛奇芸(iQiyi)は同年、イングランドのプレミアリーグ、スペインのラ・リーガ(リーガ・エスパニョーラ)、UEFAネーションズリーグなどの放映権を擁するスーパースポーツメディア(Super Sports Media Inc.)と共同出資会社を設立。スポーツ試合の放映権争いに新規参戦した。


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