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  ニュース     2022/12/22 13:59

中国:求人広告で「コロナ回復者優遇」増加、雇用差別の指摘も 無料記事

 【亜州ビジネス編集部】新型コロナウイルス防疫措置の緩和が進む中国で、求人市場に新しいトレンドが生まれている。新型コロナウイルスに感染し、すでに回復した「コロナ経験者」を優遇するとの文言が求人広告で多く見られるようになった。こうした求人広告について専門家は、「雇用差別に相当する恐れがある」と指摘している。香港メディアのフォーチュン・インサイトが22日伝えた。
 中国では足元の感染急拡大を受け、幅広い業界が人手不足に直面している。北京、河北、江蘇、甘粛など各地で、求人広告を出す企業が増えている状況だ。そうした広告には「これまでにコロナ陽性となり、すでに回復した人を優遇」との文言が見られるようになり、中には「陽性になったことのある人、または現在陽性の人を優遇」と書かれた広告もあるようだ。
 例えば、河北省石家荘市のあるホテルでは、フロントスタッフの募集要項に「パソコンの基本操作ができ、コロナ陽性になったことのある人を優遇」などと書かれている。記者の取材に対して、同ホテルのスタッフは「感染したことのない人は、入社後に(感染して)休暇を取る可能性が高い」と説明した。
 また、北京のある外食企業では、グループ全体で約300人の人材募集を予定。求人広告には「コロナから回復した人を優遇」「オミクロン感染者も歓迎」などと書かれているという。同社の社員は報道内容を事実と認め、採用時にはPCR検査の結果を参考にすると述べた。
 北京蘭台法律事務所の弁護士によると、こうした求人広告は「コロナに感染したことのない人」にとって不利な条件であり、雇用差別に相当する恐れがある。雇用差別を受けた求職者は、「就業平等権」の侵害を理由に民事訴訟を起こし、企業に損害賠償を求めることができるという。
 こうした現象について、現地のインターネットユーザーの間では「これまでは陽性者が差別されていたが、今後は陰性者が差別される」などと揶揄する声が上がっている。


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