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  ニュース     2023/06/13 18:00

中国電池3位の中創新航、新卒予定数百人の内定取消 無料記事

 【亜州ビジネス編集部】中国の車載バッテリー大手、中創新航科技(CALB:3931/HK)が新卒者の内定を一方的に取り消した。2022年末に中創新航科技と入社契約を交わしたにもかかわらず、ある卒業予定者は今年5月24日、会社人事部からの電話で契約解除が告げられたという。中国のSNSでは、中創新航による内定取消が多数報告されている。界面新聞が先ごろ伝えた。
 会社側は1人につき補償金3000人民元(約5万8500円)を支払うと釈明している。中創新航は四川省眉山・成都、福建省アモイ、安徽省合肥の各地で採用を削減したもようだ。この影響を被った卒業予定者は合計数百人に上るとみられている。
 中創新航の従業員総数は22年末時点で7695人に拡大した。動力電池と蓄電池を量産し、売上高全体に占める中国比率は98%を占めている。常州、アモイなど中国に生産拠点7カ所を配置した。ポルトガルに海外初の工場を設ける計画を立てている。
中国汽車動力電池産業創新聯盟の統計によると、中創新航の動力電池国内搭載シェアは、22年通年で中国3位の6.5%。大きく引き離されているものの、首位の比亜迪(BYD:1211/HK)、2位の寧徳時代新能源科技(CATL:300750/SZ)を追う位置にある。中創新航の今年1〜4月車載シェアは3位の8.21%(7.47GWh)に拡大した。主な出荷先は広州汽車集団(601238/SH)と小鵬汽車(エックスポン:9868/HK)。出荷全体に占める比率は、広州汽車向けが4割、小鵬汽車向けが17%で推移した。
 中創新航は22年10月6日、香港証券取引所に新規上場。IPOを通じ、手数料などを除く手取り概算で98億6390万香港ドルを調達した。主に増産投資に充てる。成都、武漢、合肥、江門、眉山で工場新設を計画し、年産能力は22年に35GWh、23年に90GWhへと急拡大する見込みと説明していた。
 同社の筆頭株主は、持ち株比率14.23%の常州金沙科技投資有限公司。常州金沙科技投資は常州市金壇区政府の子会社となっている。
 今回の事例はもちろん「氷山の一角」に過ぎないものの、中国では若年層の失業問題が深刻だ。国家統計局の最新データによると、都市部の調査失業率は今年4月に16〜24歳で20.4%まで悪化し、18年1月の統計開始以来で過去最高を記録したという。向こう数年にわたって毎年1000万人規模の新卒者が流入するなか、中国の雇用市場はこれを吸収しきれていない状況だ。


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