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  ニュース     2023/10/23 14:45

富士康に税務査察、台湾総統選出馬の郭台銘氏に警告か 無料記事

 【亜州ビジネス編集部】台湾・鴻海精密工業(ホンハイ・プレシジョン・インダストリー:2317/TW)の中国事業体である富士康科技集団(フォックスコン)が、広東省と江蘇省の拠点で税務査察を受け、河南省と湖北省などで用地使用に関する調査を受けたことが中国・環球時報の報道で明らかになった。鴻海は創業者で前董事長の郭台銘(テリー・ゴウ)氏が台湾総統選挙への出馬を決めており、中国の今回の動きは郭氏に選挙から下りるよう警告を発する狙いとみられる。23日付台湾・工商時報などが報じた。
 鴻海は中国で長年、外資企業として投資額、輸出額、雇用規模で首位を続け、2021年には鴻海による輸出額が中国全体の3.9%を占めた。郭氏自身も中国人アイデンティを持ち、台湾独立に反対、両岸(中台)の融和を主張している。今回は中国経済に長期間にわたり多大な貢献してきた親中企業がターゲットにされた形で、台湾社会でも驚きをもって受け止められている。
 郭氏の出馬が中国から問題視されるのは、野党系候補の乱立によって票が割れ、与党民進党の政権が継続する可能性が高まるためだ。
 2024年に行われる台湾総統選には、民進党の頼清徳(副総統、64)氏の他、野党陣営から侯友宜(国民党、新北市長、66)、柯文哲(台湾民衆党、前台北市長、64)、郭台銘(無所属、73)の3氏が出馬を表明。世論調査では頼氏がリードするものの支持率は4割に届かず、野党系は候補者の一本化が逆転勝利の鍵とみられている。
 郭氏が8月末に出馬を発表した際も、中国メディアは批判的な報道に終始した。今回の富士康の各地拠点に対する査察には、郭氏に立候補を断念し、野党系の一本化工作に協力するよう求める中国側の意向が働いているとみられる。


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