【亜州ビジネス編集部】中国のミネラルウォーター最大手、農夫山泉（ノンフー・スプリング：9633/HK）の創業者で、董事長でもある鍾センセン氏が電子商取引（Eコマース）大手のピン多多（PDD/NASDAQ）を名指しで批判したとして、現地で話題になっている。鍾氏は「ピン多多のようなインターネットプラットフォームが価格体系を引き下げ、中国のブランドや中国の産業に巨大な損害をもたらしている」と指摘。これは「悪貨が良貨を駆逐する」行為だと批判した。「価格は産業の方向性」であり、このような価格志向に政府が介入しなかったのは「怠慢」だと批判している。時代財経など複数の中国メディアが20日伝えた。

　鍾氏は自社の経営スタンスについて、価格体系の引き上げを進めてきたと説明。同社は足元の価格水準を注視し、製品の価格を支えてきたと強調した。

　ピン多多の事業モデルを巡ってはこれより先、白酒大手の五粮液（000858/SZ）からも批判の声が上がっている。五粮液は今年3月、ピン多多に出店する複数店舗で販売されている「五粮液」の多くがコピー品であるとの声明を発表。11月には、「ある大型のEコマースプラットフォーム」と直接の名指しを避けつつも、同プラットフォームで販売されている「五粮液」の77％がコピー品であると指摘した。

　なお、胡潤研究院が10月末に発表した2024年度版「中国富豪ランキング」で、農夫山泉の鍾氏は2位に転落。前年まで3年連続で首位を維持していたが、自社株価の下落などが響いた。代わりに首位に浮上したのは、北京字節跳動科技（バイトダンス）創業者の張一鳴氏。ピン多多創業者の黄崢氏は4位だった。


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