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  ニュース     2019/08/19 19:59

中国:新興EV蔚来の幹部離職相次ぐ、リストラ・資産売却も 無料記事

 中国の新興電気自動車(EV)メーカー、上海蔚来汽車(NIO/NYSE)が足もとで苦戦を強いられている。この背景には、財務圧力の高まりなどがある。前回のリストラに続き、すでに優勝経験のあるレースチームを売却した。直近では、同社創始者である鄭顕聡氏の離職が明らかになっている。同氏は以前に米フォードの幹部を務めた経歴の持ち主。蔚来汽車の国際イメージを代表する人物と目されてきたという。英フィナンシャルタイムズ中国語版が16日付で伝えた。
 社内向け文書によれば、鄭氏は年齢を理由に日常業務から退く。これまで車両開発やサプライチェーン管理、製造プロセスを仕切ってきた。これ以前にも同社では、複数幹部が離職している。今年6月に、ソフトウエア開発責任者の庄莉氏、英国事業責任者のアンジェリカ・ソーダイアン氏、18年末には米国現地法人の最高経営責任者(CEO)を務めたパッドマスリー・ウォーリアー氏が蔚来をそれぞれ去った。
 高級電気自動車(EV)販売に専念する同社は、“中国のテスラ”または“テスラキラー”とも称される。2018年のニューヨーク上場で10億米ドルを調達したものの、株価は今年に入り54%も急落した。
 新規株式公開(IPO)とは別に39億米ドルのファンド投資を獲得しているが、経営赤字が持続。直近四半期の出荷台数は、前四半期の半分に相当する3984台に縮小している。新エネルギー車(NEV)補助金の減額が響いた。期中に3億9000万米ドル(約415億円)の損失を計上するなか、リストラと資産売却を決断している。今年以降のリストラ規模は、全従業員の10%相当を占める約1000人に達した。5月には米シリコンバレーに構える事務所2カ所で70人を減員。うち1事務所を閉鎖している。今月には、レースチームの売却を発表した。企業知名度向上に向けて創設された「NIO Formula E Team」は、FIA(国際自動車連盟)公認で行われた15年の第1回電動カーレースで優勝した経験を持つ。
 消費停滞や補助金減額の逆風を受けて、中国のEV販売は失速。中国自動車工業協会の統計によれば、今年7月の新エネルギー車(NEV)販売は、2年6カ月ぶりに減少した。伝統車メーカーがEV参入するなか、競争は一段と激化している。EV発火事故も蔚来汽車の不振に追い打ちをかけた。火災事故が立て続けに3件起きるなか、車載電池に不具合があるとして多目的スポーツ車「NIO ES8」4803台のリコール(回収・無償修理)に踏み切っている。


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